
2ヶ月ぶりの自宅からの弾き語りライブ配信。自分の目論見としては外出自粛の4月と5月を経て、6月の下北沢lete、吉祥寺スターパインズカフェからの配信、7月に入って恵比寿天窓switchからのバンド編成ソロとGOMES THE HITMAN配信と少しずつステップを昇ってきて、いよいよ東京を離れて旅先での演奏というフェーズに進みたかったのが、そう思い通りにはならなかった。後戻りするのは嫌だったから自分が楽しいと思える配信をしようと思って、結局構想から含めると1週間くらいの準備を経ての「夜の科学 at home vol.8」となりました。当日どんな格好をして演奏するかということから決めてプランニングするライブなんてこれまでやったことない。やったことないことをやるのってやっぱりワクワクする。

春からのいわゆる「おうち時間」で改めて感じたのは自分の家の居心地の良さ。掃除ばっかりして整理整頓が進み、少しの断捨離や見直し、荒れた庭を均したり芝生を敷いたり、時間割の決まった暮らし方も相俟って家篭りも楽しくやれた。その家のいろんなところで演奏するというのが今回の「夜の科学 at home vol.8」のコンセプトとなった。メインステージは仕事部屋、そこから3つのサブステージを繋ぐ。ライブ配信当日、オープニング映像を作ろうと思って雨をくぐり抜けて猫町をぐるっと一周歩いて撮影、ぎりぎりで間に合った。
選曲のテーマは “失われた夏休み/lost summer vacation”、「虹とスニーカー」から始まり夏を彷彿とさせる曲を繋げた。トムソーヤーの冒険の主題歌とかホント夏休み感すごい。仕事部屋から時間を昼まで巻き戻して最初のサブステージはGARDEN STAGE、芝生の庭へ。ずっと雨だったこの1週間、雨の降らないほんの10分ほどで撮影したテイク、やっぱり庭で歌うとどんだけ大人しくやってもご近所に聞こえてしまうのでいろいろ大変だった。あと、蚊。演奏の最後で袖のあたりをフッ!と吹くのは蚊をはらっている。それにしても緑の芝が映える映像だった。これまでも何回か芝を敷いたことがあるけれど今回が一番うまくいっている。天気がいいとポチ実はずっと芝生の上でごろごろ転がっているけれど、今週はその映像が撮影できなかったのが残念。

GARDEN STAGEからLIVING STAGEへ。自分内ルールがあって、リビングにはケーブルとかギターシールドとかケースとか、とにかくライブや録音にまつわる「黒いもの」を置かないことにしている。無数のレコードがスペースを占める部屋だが、ここは基本的には音楽を浴びるように聴く部屋。そこで歌を歌うのは自分にとっては少し特別な時間。「夏の日の幻」の映像に歌詞テロップを挿入したのは個人的に風景描写が一番美しく描けたと感じる詩を目と耳で楽しみたかった(楽しませたかった)から。新鮮な試みでした。
仕事部屋メインステージへ階段を駆け上がって戻り、小休憩。ゆるゆるダラダラしているように見えるかもしれないけれど時計を睨みながらのなかなかスリリングな進行。予定になかった「会えないかな」を歌って、3つ目のステージBEDROOM STAGEでの演奏へ。

6月に小型のプロジェクターを購入した。我が家のなかで一番狭くて一番壁が広い寝室はプロジェクターを投影して映画を見るのに一番適してると思っていたのだけど、その部屋でプロジェクターから光の粒を降らせてそのなかで「モノクローム」を歌った。バックトラックは近藤研二さんによるもの。画面右側にデジタル時計があり、チーム猫町LINEグループでは「時限爆弾犯に見える!」と大受けだったのだけど、みなさんからのコメントを見るとまた違う受け止められ方をしていて面白かったな。これまでも寝室は写真撮影の際にスタジオがわりにした(『緑の時代』も『Punctual/Punk』もここで撮影した)ことがあったけれど、公開したのは初めて。光が幻想的でどんな部屋かわかりにくいかもしれないけど。
ベッドでそのまますやすや、からの照明キラキラのなかでエレキギターをかき鳴らし「houston」。みんなこの曲名の綴りを間違えがち。H・O・U・S・T・O・N、houston である。ぜひ憶えてほしい。バックトラックはこの曲を書いた当時、2010年台前半のものなので曲の構成が『memori』と少し違う。時を超えて過去と現在が繋がるのが面白いなと思った。照明のスイッチは全部僕の手の届く場所に。仕事部屋はコックピットか。そこから少しクールダウンして「そばにあるすべて」。ひとことひとことを噛みしめるように歌うことができて、この日の個人的ハイライトはここだった。

何日もの時間が詰め込まれた感じで駆け抜けた90分の濃密なライブ。今回もたくさんの視聴、さらには多くの投げ銭アイテムをありがとうございました。花火やクラッカー、チミやポチが降り注ぐ画面を眺めながら歌うのはとても楽しいです。「お茶爆」してくれた方にはささやかなお返しをお送りしました。春からのコロナ禍で学んだのは、こういう新しいことは結局自分自身が楽しめないと観る人を楽しくさせられない、ということ。この日も僕は準備からなにから、本番もずっと楽しかったのです。みなさんの4連休のうちの一晩のエンターテイメントになれたのなら幸せ。
録画アーカイブが8月8日までご覧いただける視聴チケットを現在も
ツイキャス公式サイトで販売中です。90分お時間あればぜひ観てみてください。ライブは映像開始から30分頃スタートします。開場中と終演後に流れる音楽はこの公演のために用意した『kingfisher tunes』という10曲で、現在オフィシャル通販STOREの
DOWNLOADセクションにてダウンロード販売をしていますのでこちらも。またの機会にお会いしましょう。新しい楽しいことを考えます。