アメリカではシュプレヒコールをあげながらのデモが頻発。僕はネットでそのサインボードに書いてある言葉を調べ、それを猫に当てはめていきました。「Black Lives Matter」は訳すのがとても難しい、独特なニュアンスのあるフレーズですが、「黒人の命も大切だ」から転じて「すべての命が等しく大切」という意味に理解している。U2に「終わりなき旅」という曲があって、そのなかでボノは「I believe in the Kingdom Come/Then all the colors will bleed into one」と歌う。すべての色がひとつに溶け合う来世を信じている、という意味だけれど、ダイバーシティの問題を眺めながら僕の脳裏にいつでも流れる音楽はこの歌とジョン・レノン「イマジン」だ。人間も猫も犬も他のどんな生き物もみんな等しく幸せであるのがいい。
英語のフレーズは「GIVE ME A BED(寝床を!)」「SPOIL ME A LOT!(もっと甘やかせ!)」「LOVE NOT HATE(ヘイトではなくラブを)」「MAY ALL CATS BE HAPPY(すべての猫が幸せであるように)」、退屈と描いたヘルメットをかぶったポチ実、肉球の絵はBLM運動で象徴的に使われた拳を握ったイラストの猫版。ママンがシャーと威嚇し、お隣のリルくんが「DOGS TOO(犬もね!)」とたたみかける。小さな動物たちの訴えに耳を傾けたい2月。3月も4月も一年中ね。
定例「水曜日のインスタライブ」のアーカイブを公開した。物販の宣伝や冗長な部分をカットした編集版になっていて、インスタグラムのIGTVからご覧いただけます。メジャーデビューミニアルバム『neon, strobe and flashlight』から「ストロボ」、基山でのコンサートに続いてまた「夕暮れ田舎町」、そして「アップダイク追記」と3曲を演奏。アルバムタイトルについて、そのネタ元がサイモン&ガーファンクルの「Sounds of Silence」だという話を冒頭にしているけれど、自分にとっての「FAVORITE POET」は間違いなくポール・サイモンである。今も昔も自分にとってソングライティングとは詩作のこと。初期の楽曲を歌いなおすと改めて自分が目指した目標を再確認することになる。まだまだ辿り着けないけれども。
今年に入って山田稔明全詩集「HOW SHOULD I SAY TO BE YOUR FAVORITE POET?」を頭からずっと演奏するという企画になった毎週水曜日23時からの「水曜日のインスタライブ」。今週は京王百貨店催事の設営のあと、バタバタしながら仕事部屋に戻ったのでなんだか落ち着かなかったのですが、もともとインディー時代の作品は落ち着きのないCDたちなのでちょうどよかったかな。「溶けて死ぬのさ」「coffee」「恋はワイルドシング」「universal student」と4曲演奏して『down the river to the sea』全曲をさらいました。「universal student」という意味深なタイトルのネタばらしは初めてだったんじゃないかな。
ちょうど1年前の今頃はGOMES THE HITMAN14年ぶりのアルバム『memori』のリリースを受けて、2月2日に二子玉の蔦屋家電でインストアイベント、2月8日には福岡JOY TRIP CAFEでのライブ、とmemoriツアー前哨戦的なライブで駆け回っていた頃。蔦屋家電のイベントのときに初めて所属レーベルから「今後新型ウィルスでイベント自粛ということも可能性ゼロではない」という話を聞いた。全国的にライブやコンサートが中止になるきっかけとなったのは奇しくも2月8日、同じ福岡で開催されていた大きな会場でのコンサートで感染者が確認されたことだった(それは2月25日に判明し26日に首相会見がなされた)。2月12日は不穏な空気のなか「ちよだ猫まつり」が開催され、この日物販時の握手は自粛しておこうと思ったけれどやっぱり手を差し出されると反射的に握手してしまったり。多分お客さんと握手したのはその日が最後になった。
水曜日にやったインスタライブのアーカイブをインスタグラムのIGTVに公開しました。間違ってやり直したりするのをカットしたり編集したりしてあるので見やすいかも。でも何が起こるかわからない緊張感はリアルタイムでしか感じ得ませんね。足元にはルーパー、ヴァイブラフォンのサンプルやドラムループなどを使って1998年、インディ時代のフルアルバム『down the river to the sea』から夏に駆け出すような楽曲を演奏しました。ぜひご覧ください。山田稔明全詩集があるとさらに楽しくなると思います。
こないだお正月だったのにもう2月だと。カレンダーと手帳を眺めて「うむ…」と考え込む。1月よりはいろいろ予定が控えているけれど、実際それが本当に実現するのかどうか。昨年のGOMES THE HITMAN『memori』レコ発ライブが2月25日だったから、我々がコロナに翻弄され始めてから1年になるのだな。もうコロナ以前がどうだったか思い出せなくなってるところもある。東京の緊急事態宣言は延長。声なき悲鳴、形のない崩落、なすすべもなく空を仰ぐ苦悩の顔をそこかしこに感じる。