
最近あたたかくなったせいか近所に猫(野良も飼い猫も)が多く、しかしめったにうちの猫より可愛い猫はいないから座り込んでチュッチュッっと舌をならすようなことはあんまりやらなくなりました。でも近所の酒屋さんの前で香箱を組んでた老猫はコンクリの地面を鼻水と目やにで濡らすほど可哀想な様子で、触らないようにしながら(病気がポチに移ったら大変だからな)気を惹こうとしたら「ニャっ」と細い高い声で鳴いたのがとても切ない響きだった。
野良猫を「可哀想だなあ」と思うことは人間の勝手で、実際あいつらは僕の車のボンネットに手形をペタペタつけたりあたたかなアスファルトに寝そべってひなたぼっこをしたりして案外楽しそうで、だからこそノドを鳴らすのではなく鼻水でブルブルと変な音を立てて息をしている老猫がさびしく悲しい感じに見えた。梅雨が来るのが憂鬱ですね。