2007年10月04日

home sweet home DAY3

day3_7寝不足が続いたせいかなかなか起きられず。早朝から母親ががちゃがちゃと台所仕事をする音がうるさくて起き上がる。地方の朝のワイドショー、東京と全然違って新鮮。司会者も「あーこの人だれだったっけなあ」と見覚えのある顔だが名前は出てこず。母親も親戚たちもいろいろな手続きや処理で体の休まる間もないようで、おつかいを手伝ったりしているうちにお昼に。

車を借りておばあちゃんがいる特別養護老人ホームへひとりで行ってみることに。8月に電話でしゃべったけれども僕の顔を見て僕だとわかってくれるのか不安だったがひとりで行くことにした。感極まって涙ぐむ顔とかを母親に見られたくないからだ。みかんをふたつ持っていく。



老人ホームは昨日登った山の途中にあるからまた緑豊かな風景を眺めながらのドライブになった。坂を登って到着、昔はたまに来ていたがおそらく8年ぶりかそれ以上か。教えられたとおりに入り口から入りリノリウムの廊下を歩いていくとばあちゃんの名前が書いてある個室があった。戸をあけて中を覗くもばあちゃんの姿はなくあたふたしていると後ろから職員の方に声をかけられ「孫なんですけど」という僕を4階の広間まで連れていってくれた。今日はみんなで昼ご飯を食べるデイサービスという日らしい。

僕の目はばあちゃんの姿を簡単に見つけた。ちょっと小さくなったけどそんなに印象は変わらない感じ。「ばあちゃん、わかるね?稔明よ」というと「ああ?稔明ね?としちゃんね?」と答えたけどばあちゃんは白内障で目がほとんど見えないみたいで視線が合わない。だから手をとってさすったら向こうもぎゅっと握り返してきて鼻がツーンとなって目が熱くなってきた。「としちゃん、一番かわいがった孫ばい」とか言うからずっと上を向いて涙がこぼれないようにしないといけなかった。

みかんを持ってきたというと「むいてくれんね」というから、僕がみかんの皮をむいてひとふさ渡すとそれを歯のない口でむしゃむしゃ食べて「おいしか」と言う。残りは全部僕が食べた。ばあちゃんの口から出るのは「悲しか」とか「さびしか」とか「どうもこうもならん」とか「もうなんもしきらん」とかばっかりで僕も悲しくなったけど、ばあちゃんよ、もうすぐ90歳なんだぜ、よく頑張ってるよ、と思う。

むしゃむしゃご飯を食べてる他のじいちゃんばあちゃんの視線を一身に浴びながら僕はばあちゃんの背中をさすったり手を握ったりして長い時間を過ごしたような気がしたがそれは1時間足らずの時間だった。「また来るけん死んだらいけんよ」と言って手を振って別れたけどばあちゃんが泣いてるのを初めて見たのでつらい気持ちだった。今度はばあちゃんを笑わせられるようなことを言えるように頑張りたい。

なんとなくやりきれない気持ちだったから山をもうちょっと登って大興善寺というつつじで有名なお寺に立ち寄ってみた。オフシーズンでガラガラ。そのまわりの風景は写真に撮るとまるで真夏の夏休みのように写る。マインドトリップ、というか、子供の頃の気持ちとか記憶がふっと浮かんでくる感じでぼんやりしてしまう。

山を下りて忙しそうにしている母親や親類にさよならして鳥栖駅から電車に乗って福岡空港まで。鳥栖駅名物のうどんも食欲がなくて食べられなかったが外国人のバックパッカーが食べてたうどんの写真を撮らせてもらった。電車は対面シートの6両編成だったが人も少なく気がつくともう博多駅であっという間に空港につき、すぐに機上の人となって東京へ。

九州へ帰るのか東京へ帰るのか、「帰る」という言葉は使い方が難しい。浜松町で東京タワーを見たときに「ああ、帰ってきた」という気持ちになるのが不思議だ。つくづく自分は根無し草だなあ、と思う。

そういうわけで東京に帰ってきました。明日は吉祥寺でライブがあります。帰郷中ずっと頭で流れていたのは自分で書いた「home sweet home」という歌だった。なんか、いろんな風景を的確に切り取った奇跡的な曲なのかもなあ、と思ったので明日も心から歌いたいと思います。
grandmaday3_1day3_2day3_3day3_4day3_5day3_6day3_8
Posted by monolog at 17:47│Comments(5)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
山田さんおかえりなさい!
いろいろとこの数日にあったんですね。。
きっと明日のライブは、またいつもと違った風景が
流れていくのかなぁと想像します。
明日は行けませんが、頑張って下さいね!
GOMESで知り合った友達と鳥栖に行けたこと、
山田さんの撮った写真を見て、
なんだか懐かしくて、そして
自分の目であの風景を見ることができて、
行くことができてほんとに良かったなぁと改めて思いました。
Posted by えひ at 2007年10月04日 23:23
お疲れさまでした。お帰りなさい。


メイビーサムデイみたいな景色!
すごい色ですね。

明日のライブ楽しみにしています。
Posted by シロ at 2007年10月04日 23:51
おばあさん、山田さんにどことなく似てますね。静かに微笑う瞳がそっくりです。

うどん食べたーい!
Posted by たま at 2007年10月05日 00:11
「としちゃん、一番かわいがった孫ばい」
てところでもらい泣きしました。
わたしのおばあちゃんもグループホームに入っているので、会いに行くと同じような気持ちになります。
山田さんの明日のhome sweet homeを心して聴きます。
Posted by K.Y at 2007年10月05日 00:24
お別れは寂しいものですが、それを機にしてずっと会ってなかった人たちを
故人の方が会わせてくれるものなのかなぁとも思います。
明日のライブ、Blogを見ていたら急遽かけつけたくなったけど
偶然にもお線香の香りの中に行くことになり、無理そうです。
毎日こういう寂しいことや楽しいことが、どこかで訪れてるんですね。

今度はただ純粋におばあちゃんに会うために帰省をして
心残りであろう、うどんを食べてみてください。
Posted by INO at 2007年10月05日 01:01