

小説を読むほどの体力はないので音楽的リズムのある本をチョイス。佐野元春著「ビートニクスーコヨーテ、荒地を往く」は佐野元春によるビート文学の先駆者たちへのインタビューを収めた読み応えのある、アカデミックな意味でも完成度の高い本でした。なにより佐野元春の文章のテンポがよく創造的なメタファーに富んでいて活字を追う目が喜ぶ感じ。あらためてビートニクたちの書き散らした作品を読みなおしたくなった。大学時代で一番突拍子もなくて面白かったのは「ビートニクとその時代」という1年間だけ開かれた授業でした。その授業は天気がよければ校庭でひなたぼっこしたり突然即興で英語の詩を朗読させられたりした。
直枝政広著「宇宙の柳、たましいの下着」はどのページを開いても読み入ってしまうような、文字情報の多い本で、音楽好きが作った音楽好きのための本という佇まいで、直枝さんの文章もかなり赤裸裸な感じで知らなかったこともいっぱい知れて聴きたくなる音楽もたくさんあって、こういう読書は身になるな、と思いました。
そして今僕はようやくお正月に買った町田康の「猫のあしあと」を読み進めているのですが、今はけたけた笑いながら作者と猫との暮らしを眺めてはいるが最後には絶対泣いてしまうんだろうな。なぜ猫とはこうも人間の目尻を下げさせ口角をあげさせてしまう生き物なのか。「猫をかまけて」のときも吉祥寺から渋谷への電車のなかで泣けて大変だったことをおぼえています。
ニール・ヤングが「音楽が世界を変える時代は過ぎ去ったのだ」という発言は字面で読むと非常に悲観的に伝わってくるけども、その後の声明を読むと歌を歌う意味/意義みたいなものが明確に浮かび上がってきて勇気が出た。
「音楽が世界を変える時代は過ぎ去った」と話したニール・ヤングからの声明文
今日もいい天気だ。