
4月1日世界発売のR.E.M.14枚目のアルバム『Accelerate』は11曲で34分というコンパクトさ。ドラムのビル脱退以降はレコーディング技術と寄り添ったブライアンウィルソンを21世紀に蘇らせようとするような重層的なアナログとデジタルをたゆたうようなサウンドで静かに熱い作風だったのが今作はエレキギターメインのロックチューンが比重をしめていました。
前のエントリーで「過去のアルバムと同じようなアルバムを作らないでほしい」などと書いておきながら初めて聴く曲を過去の作品群と比較してしまうのも矛盾していると思うが、音圧の密度や雰囲気は『Lifes Rich Pageant』や『Document』に通じるものがあるかなと感じた。でもそう感じたのは多分間違いでアルバムが進むにつれて2005年に見た来日公演で感じたロックチューンの音圧が忠実に盤に記録された、と言ったほうがいいかもしれません。ここでフル試聴できます。DVD付きリミテッドエディションはこれ。
R.E.M.がテンションの高い歌を発表するとすぐ「R.E.M.原点回帰」というコピーが雑誌に載るのだけど僕が知っている限りではR.E.M.は原点から出発してその後そこに回帰したことはない。『Monster』というラウドなロックアルバムとも今回は全然違うふうに聞こえる。
50歳を過ぎてロックの殿堂入りをしたバンドが2008年にこの音圧のサウンドと様々なメディアミックスで世に問うことにとても意義があると思いました。最近のライブでは「OBAMA」と胸に書いたTシャツで熱唱していたマイケル・スタイプは語っています。「21世紀の最初の10年を、心から希望を感じながら、そして人類、僕ら全員の可能性に胸を躍らせてわくわくしながら終えたいんだ。そういうことなんだよ」と。僕も21世紀最初の10年を悔いの残らないように終わらせたいと思いました。