ずいぶん前にテレビで見たデザインに関するドキュメンタリー番組の中で「新鮮なものだけに価値があるわけではない。着古して肌になじんだジーンズのようなものにも同じだけ価値がある」という言及があり、“パティーナ(patina)”という、ラテン語で“経年変化”を意味するコンセプトが出てきてハッとしたことがあった。最新型もいいけど進化が行きついた“カタチ”も愛おしい。
ここ最近50歳を越えても旺盛に活躍する先輩たちのステージをたくさん観たこともあって「ノスタルジーではなくビンテージ」という思考の波が寄せては返すような感じだったので、いろんなことを考えながら日に焼けたこの古い本をぼーっと眺めていました。
たとえば今僕がステージで歌っている歌はきっと50歳になっても歌える歌だなあ...とか、次のCDはそれこそ『ripple』以上の耐久性があるものになるだろうあ...とか。いろんなことを思いながら来月のステージのことをチェスの駒でシミュレーションするみたいに練っています。