近年はずっと寝たきりで、去年は福岡で3度ライブがあったことも手伝って「おばあちゃん」と名前を呼んだり顔を触ったり流動食をスプーンで食べさせたり、十分な時間を過ごしたと思うので後悔はないのだけども、やっぱりもう故郷におばあちゃんがいない、という事実にさびしい思いは消えません。
僕が帰った2日間、佐賀はずっと雨が降っていて、お別れの日に傘をさしながら灰色の空に向かってたなびく煙を見上げて眺めたのですが、このシーンでいつも頭の中で流れるのは真心ブラザーズの「空にまいあがれ」という歌で、僕はこの日も「僕は僕を続けるよ明日からも」というフレーズを声に出さずに歌いました。
ばあちゃんはJDサリンジャーとネルソン・マンデラと同級生で、20世紀を気丈に、元気に生き抜いて21世紀にゆっくりと消えてゆきました。「としあきは一番手をかけた孫やけんねえ」という、いつか聞いたばあちゃんの言葉が僕の宝物だ。お世話になりました。ありがとうございました。ゆっくり休んでください。
写真はうちの猫が行き倒れた姿、ではなく恍惚の寝姿。うちのばあちゃんが猫だったとしたら19歳まで生きた、ということになる。僕はまだまだばあちゃんから50年以上も後ろを歩いているのだ。まだまだこれからの人生です。