しかし来日公演が迫るとどうしても観たい気持ちが抑えられなくなってSNSサイトのコミュニティでチケットを譲ってくれる方を探し(明治大学学園祭でのみうらさんとリリーさんの講演以来の熱意で)無事に東京2日目のチケットを手に入れ、俄然気分が高まってきていざ新木場へ。
ステージ中央のかなり前のほうを陣取る。1994年に福岡ビーベンという今はなきとても小さなハコで彼らを観たときと同じくらいの距離かもしれない場所で、あのときもライブが始まったらみんなもみくちゃになったことを思い出してFREITAGのベルトを一番短くしたりして。
果たして16年ぶりにそのときと変わらないメンバーで演奏されたPAVEMENTは終始笑顔が溢れるような、どの曲でも観客のシンガロングが発生するような陽性のエンタテイメントで、PAVEMENTでしかなしえない奇跡的な1時間半のステージだった。僕はまわりのキッズにあわせて飛んだり跳ねたりしてして汗をかき、「Spit on a Stranger」が始まったとき泣きそうになった。本人たちが“PAVEMENT”という遊技場で楽しく遊んでいるような感じで、とにかく長身のマルクマスの一挙手一投足が見目麗しかった。
'90年代を振り返ると、神々しささえ湛え始めたR.E.M.も美しく破滅的なNIRVANAも息が詰まるほど圧倒的なSONIC YOUTHも僕のミュージックライフを熱くさせたが、優等生でもなく不良でもないような、どこにでもいそうなアメリカの若者(想像)が集まって遊んでいるような音楽を鳴らすPAVEMENTやLemonheadsなんかに、僕は勝手に等身大でリアルで身近な印象を抱いていたことに今さら気づきました。