2010年11月13日

夜の科学“瀬戸内ツアー”日記(DAY2;11月6日)

day2_2day2_1初日加古川でのライブから一夜明け、この日はいよいよ四国へ。思えば今年の5月のレコ発の翌日思い立ってチャッツワース岸本夫妻の車で出かけて以来「加古川起点で四国ツアーに一緒に回れたらいいですねえ」と話ていたことが、たった半年でいよいよ実現する。

山陽自動車道をまず岡山へ。倉敷をジャンクションして瀬戸大橋を渡るルート。奇しくもこの秋倉敷に足をつっこむのは3度目、いよいよ“通り過ぎる街”になってきた。

瀬戸内海が見えてくるとテンションが上がってくる。海のない、山の田舎で育ったからか僕は海を見ると外国に来たような異邦人感を感じるのだ。

海の青の向こうにうっすらと浮かぶ島々、工業地帯、右も左も見渡すかぎりの青。与島PAで車を停めてしばし休憩。太陽が眩しくて何度もくしゃみがでる。瀬戸大橋の大きさよ。瀬戸内海の美しさよ。言葉数も少なくなってただただ景色を眺めさせる魅力がある。

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day2_3day2_5瀬戸大橋は1988年春に開通した岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ橋。サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジと“姉妹橋”だそうで、そのシルエットは“銀色のゴールデンゲート橋”という趣があります。

鉄道と車が併走する眺めはとても壮観。普段パーキングに寄るとお店の中に入ってお土産をひやかしたりするのが常なのに与島PAではずっと外で景色を眺めていました。ぐるっと見渡すパノラマの美しさ。

瀬戸大橋由来のゆるキャラは「わたる」くん、TVチャンピオンのゆるキャラ王選手権で全国チャンピオンになった猛者。橋を渡ると確実に景色のチャンネルが変わった。遠くに見える山々のかたちが三角、まさに“おむすび山”という感じ。いよいよ四国に突入。

いくつか見たい場所をリストアップ、まずは港のほう、北浜アリーというエリアを目指すも駐車場がいっぱいでどこにも停められず。時間を無駄にしないようにと次の目的地イサムノグチ庭園美術館へ。今年の初夏にイサム・ノグチが設計した札幌のモエレ沼公園を訪れて以来なんとしても行きたかった美術館。見学できる日が限られ、さらに往復はがきで申し込まなければならないという関門を越えてようやく辿りついた(実は辿り着く前にカーナビに迷わされたが怪我の功名で山田屋うどんを発見した)。

day2_8day2_7果たして辿りついたイサム・ノグチ庭園美術館はその後の僕の背筋をすっと真っ直ぐ矯正するようなひとつのブレもない澄み切った宇宙だった。すべてがでこだわりの意匠で配置された空間に感動。写真には映らないひんやりとした熱情がそこにはありました。

おなかもペコペコでくたびれた足で山田屋へ。ここは水曜どうでしょうの四国八十八ヶ所で登場する有名店。今回の旅で残念だったのはうどん製麺所的なお店でうどんを食せなかったことでしたが、ここのぶっかけは疲れた僕らを満足させるものでした。

とっぷり日も暮れて、予定より遅れてカフェアジールへ。店長の倉橋さんが迎えてくれる。予想以上のとても雰囲気のいいお店。離れのギャラリーとウッディーなカフェ。急いで会場設営。リハもそこそこにその瞬間の気分でセットリストを考えながら開演まで。


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day2_13day2_12この日はとてもひっそりと親密なひそひそ話のように穏やかなライブだったような気がします。

四国初めてのライブ、意外なくらい冷静に演奏できて言葉を噛み締めながら歌いました。そしてお客さんも言葉を噛み締めるように聴いてくれていたような気がしました。

終盤で歌う「些細なことのように」のときに、どこの会場にも泣いてうつむいている人がいる。僕が僕の気分を言葉にした歌だけども、それが歌として僕から発せられたときまた別の感情と合致して気持ちの渦のようなものができるのを、秋になってから僕は微笑ましく楽しんで眺めている。この日もそうでした。

終演後たくさんのサインと握手。この場所でのイベント実現を可能にしてくれた岡さんにも感謝。スタッフの子たちもみんないい子たちでした。


この日のアンケートからいくつか紹介します。

◎ライブの中でお話された「昔好きだったものを思い出す時間」ということ、最近よく思うことです。教員をしているので毎日子供たちと接しているといつの間にか大人側に鳴っている自分にびっくりします。(31歳・教員)
◎本当に素敵な時間をありがとうござました。5年前からファンですが初めて生で歌を聴きました。今の悩みは大学4年の娘の就職が決まらないことです。(高知県・48歳・主婦)
◎めちゃくちゃ良かったです!私は香川県の山の上のほうの高校に通っています。毎日チャリを頑張ってこいでいます。最近進学のこととかをかが得ているのですがなかなか難しいですが、将来は外国へ行くのが夢です。(16歳・学生)
◎山田さんの歌は新月のような黒を満月にしてくれるようです。気持ちが「助かった」と言っています。どうもありがとう。いつもありがとう。(広島・事務職)
◎「雨の夜と月の光」は結婚式の最後に明るい未来を思い描いてかけた曲なので、目の前で歌ってもらえて幸せでした。(香川県・32歳)



day2_14day2_15終演後、店長の倉橋さんと長話。香川、特にカフェアジールのある仏生山という街の再生計画、とても興味深い。イサム・ノグチ美術館や瀬戸内のアートシーンとの繋がりなど尽きない話、この出会いは大切なものになりました。

カフェアジールと同じ設計士さんの手による仏生山温泉を強く薦められ、一緒に温泉をいただく。こんなおしゃれなお風呂見たことない!という感じ。お湯は柔らかく肌がすべすべに。

東京を離れていつも思うのはその土地その土地に東京には絶対ないようなとても贅沢な空間がある、ということだ。この日は車に揺られ、歩きまわってくたびれて、2時間歌を歌って朦朧としているはずなのに、とてもすっきりとした足取りで宿に辿り着きました。

一期一会の素晴らしい旅、2日目終了。

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Posted by monolog at 14:25│Comments(0)TrackBack(0)

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