2012年02月07日

光と影、夜の科学37のこと

一昨日のこと。今年最初の「夜の科学」、もう37回目になる。もともとは10年前(!)に僕がひとりで“やりたいことをやる” “新しい曲や作りかけの曲を試してみる”という実験の場として始まった弾き語りのライブ、今はソロだったりバンドだったりと山田稔明としての活動の根幹になっている。

会場入りすると五十嵐くんが眠そうな目をしてマスクをしている。「やっちゃったか」「風邪ひいちゃって」とその瞬間に僕とイトケンさんと安宅くんは即座にポケットからマスクを出し着用(えびちゃんは年下だから遠慮したのか)。無情だが仕方なし、音楽家は体が資本である。しんどそうにしてる五十嵐くんだったが声には影響ないようで「YOU、きっと今日は風邪ひいてるってバレないよ。やっちゃいなよ」とリーダーらしく鼓舞してリハーサル。

僕のエレキのオクターブ・チューニングが合っていないとリハ中断して安宅くんがステージ真ん中にしゃがみこんで僕のエレキを調整してくれて、頼もしく見えた(昔からオクターブ調整苦手なのだ)。変なところで嗚呼、なんだかバンドっぽいなあと感じる。会場ギリギリまで練習していたら体も温まったのか五十嵐くんも普通の顔になった。

本番。1曲目は「ユートピア」と決めていた。先月の巣巣でのセッション、その続きという物語。「冬の星座と二月革命」という詩を書き朗読。このメンバーで初めて演奏する「ココロ/コトバ」、ベースラインが曲を支配する曲なので演者が変わると曲も違って聴こえて新鮮。

この日は安宅くんの「あたたかいまま」とfishing with johnの「草原ヘッドフォン」の夜の科学オーケストラバージョン。安宅くんも普段ひとりで弾き語りしているのでバンド編成になった自分の曲に嬉しそうでリハーサルのときからニコニコしていた。僕も大好きな歌なのでニコニコしてしまう。五十嵐くんとの朗読セッションも手馴れたものになってきた。この日にしか鳴らされない「草原ヘッドフォン」だっただろうと思う。

アンコールでエビちゃんと五十嵐くんがリップクリームをパクパクと塗りたぐりながら登場するという、楽屋でのやりとりをしらない僕としてはナンノコッチャネンなやりとりもあったが、ステージ上は終始和やかで穏やか。しかしその裏ではプレイ中にイトケンさんが謎の太もものビリビリを感じたり僕は僕で急遽最後の最後にもう1曲やらせてくれと懇願したり各々が小さなハプニングを抱えて終演。ライブとは何が起こるかわからないからやっていても観ていても面白いものです。

新しい歌がどんどん愛しいものになってきた。「一角獣と新しいホライズン」と「光の葡萄」は思春期に毎日背が伸びる青年のような佳曲だ。他の曲も含めて演奏していて幸せだと思う瞬間がたくさんある。僕の立っている場所から見るとミラーボールが発する光の粒がぐるぐると回る天井は、大袈裟に言うと、最小のプラネタリウムのように見えるから歌を歌うのにこれほどグッと来るシーンはない。

今回のライブで恵比寿天窓switchの照明のヤリタさんが現場を離れるのでしばらくこの会場での映像と目眩く照明を味方にした“夜の科学”はしばらくお休みになる。終わってお酒を飲み交わしてもしんみりした空気が流れないのはこれが終わりではなくまた違う何かの始まりだからだ。この日のライブを目撃した皆さんにはぜひ「hummingbird」でのミラーボールが吐き出した光と影を憶えていて欲しいし、今回ライブを見られなかった皆さんは次の始まりにはぜひ立ちあって欲しいと思います。山田稔明と夜の科学オーケストラ、次回は春の訪れを待って4月に下北沢で高らかに歌を鳴らしたいと思います。


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Posted by monolog at 11:36│Comments(0)TrackBack(0)

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