2012年04月03日

春の嵐の前、「311」と「我ら、時」




昨日のこと。とても天気のいい朝で「火曜日は雨」と天気予報が言うのでお昼から渋谷へ出かけた。東海ツアーから帰ってきてずっと中央線界隈をうろうろだらだらしていたので新年度の渋谷の街はとても刺激的であった。渋谷へ来たのは観たかった映画と展示に足を運ぶため。

「A」「A2」という問題作を作った森達也と安岡卓治、「Little Birds〜イラク戦火の家族」を世に問うた綿井健陽ら泥臭い活動をしている作家/ジャーナリスト/映画監督//プロデューサーの連名による監督作品、映画「311」。「誰も観たくなかったはずのドキュメンタリー」というコピーが付けられて、その生々しい映像に賛否両論という触れ込みではあったけども、90分間で繰り広げられるのは震災から2週間後の情報錯綜と判明しない全容のなかでただひたすら原発と被災地をその目で確認する目的だけで撮りっぱなしにされた映像だった。

それぞれが回す何台かのデジタルカメラが錯綜する。シャッタースピードを落としたカメラの映像は映画的でどことなく現実感がない。誰かのカメラは明るさ調節もしないままにスポンテニアスにRECボタンが押され、しかし自分の目で見ているような現実感があり、誰かが何かを思いながら撮影している姿にまた誰かがズームインするという入れ子のような構造。メッセージ、作品意図以前の、観たこともないような、無力に押し黙るしかない姿を刻んだドキュメンタリー映画だと感じた。まだ沈殿する何かが心にある。

小沢健二が開催する「我ら、時」展覧会とポップ・アップ・ショップの最終日にも間に合った。こちらもこの目で見ておきたかった展示。最も印象的な写真は日本の街中で楽しそうに歩く「ひふみよコンサート」のメンバー皆さんのオフショットとどこかのホールの楽屋の風景だった。東京の展示は昨日で終わって、次は僕がライブしにいく週末の仙台を巡回するそうなので、仙台観光とSENDAI KOFFEEへの寄り道コースに入れてみてはいかがでしょうか。

混んでいる井の頭線で吉祥寺まで帰るときときどき心折れて空いている各駅停車に乗ることがあるが、昨日もそういう日で、しかし4月になってちょっと心意気が違って「よし、井の頭公園駅で降りて歩いて帰ろう」となる。「桜よ、どんな塩梅かい?」と。ブルーシートを敷いて夜の宴会の場所取りのグループはたくさんいたが桜はほんの少し姿を見せたくらいで、まだまだ今年の桜を愛でるまでには時間がかかりそう。今日の嵐はとても強烈らしいのでまだ咲かないでいてくれてよかった。

Posted by monolog at 08:50│Comments(0)TrackBack(0)

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