2012年04月09日

春の週末、サイリュームの夜




昨日のこと、春の風に誘われお昼過ぎに代官山へ。目黒川の桜の相乗効果かとても賑やか。蔦屋書店などは行楽地並みの賑わいでした。cholonでアアルトコーヒー庄野さんとdans la natureなっちゃん、イラストレーターの福田利之さんが出張カフェをやってるところに遊びにいき、コーヒーとお菓子の花見セットをいただきながら結局いつものようなおしゃべりをだらだらと(小沢健二の話とかチャットモンチーの話とかこれからの企みとか)。

恵比寿までぶらぶらと歩いてりんかい線で東京テレポート駅へ向かい大観覧車を見上げる。お誘いいただいた中島愛さんのツアーファイナル公演を観るべくゼップ東京へ。お客さんぎっしりの場内はすごい熱気。会場ではラウンドテーブルりえこちゃんと久しぶりに会って、ユメトコスメの長谷さんには初めまして。蔦屋書店で買った金環日食の特集増刊の本を読みつつ暗転を待つ。

果たして開演、僕の座った2階席から見下ろす客席にはサイリュームの光が生き物のようにうねり、まるでその様は夜の海に月光を照り返す魚が踊り泳ぐようで、ステージでの演奏、中島さんの歌唱は言うまでもなく、この空間の隙間をオーディエンスの熱意が隅々まで埋めてゆく一体感。そのオーディエンスのサイリュームはだれにも指揮されていないのにバラードなどで照明が暗転するのにあわせて消え、また盛り上がるパートに差し掛かると点灯し、思い思いのリズムでゆらゆらとたゆたい、時にステージに向かって押し寄せるのです。圧倒されてしまいました。

中島愛さんの『Be With You』のなかに「金色〜君を好きになってよかった」という歌詞を書かせていただいて、CDでは掛け合いのフレーズがクロスするとても精巧に手の込んだサウンドだったのでどうやって再現するのだろうか、打ち込みと同期してサンプリング?と楽しみにしていたのだけど、その合いの手のパートをお客さんが担当し(それこそ腹から出る大きな声で)完璧に歌いあげるアンコールの風景が僕にとってのハイライトでした。感動した。自分が歌詞を書いた歌を客席で聴いて心が震える、という作家冥利につきる幸せ。

マクロスFのコンサートでも「Merry Christmas Without You」という僕が作詞を担当した楽曲をキラキラと銀色のステージで歌うランカ・リー=中島愛さんを映像作品では拝見させていただいていたのだけど、終演後初めて挨拶することができて嬉しかった。とても可憐で妖精のような人でした。CD諸々と一緒に代官山cholonで買ったdans la natureの焼き菓子を進呈。素晴らしいコンサートを観させていただき感謝。

外に出ても僕の目には夜の海に光る魚のようなサイリュームの残像、それがだんだんフェードアウトしていくのを感じながらお台場のマンション群を眺めて、また「この街はまるで光の葡萄」というフレーズを口ずさんだりしながら花冷えする街を帰路につきました。夜の闇に浮かび上がる夜の桜を愛でつつ。

Posted by monolog at 10:10│Comments(0)TrackBack(0)

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