2012年07月06日

ビーチボーイズとアメリカ・インディアン




もう数ヶ月も前から僕の机の前にはビーチボーイズ来日のチラシがピンでとめてあって、今朝まざまざとそれを眺め見ていたらいろんなことをあれこれ考えてネットやら本やらで調べ物をしてしまった。僕は2005年にテレビで「窪塚洋介ネイティブアメリカン紀行―魂に触れる旅、聖なる大地へ」という番組を観て以来アメリカ・インディアンに惹かれ、その興味と関心はゆるやかに断続的に続き気づけばその手の本を探して読んでいるのだけど、ビーチボーイズとインディアンのことを結びつけて考えると結構面白い。

デビュー作には童謡を流麗爽快なサーフチューンにアレンジした「Ten Little Indian」という曲もあるけれども、僕にとってビーチボーイズとインディアンといえば1971年作『Surf's Up』というアルバムジャケットでの馬から崩れ落ちそうなインディアンの悲壮な姿である。これは「The End Of The Trail」という、ジェームス・アーリー・フレイザーという人の手による有名な彫刻がモチーフになっていて、(僕の解釈では)アメリカが移民流入以降の反映と栄華を極める過程でその影には行く宛をなくしたインディアンが旅路の終わりに途方に暮れたというアメリカの光と影を象徴したイメージである。僕もこのモチーフの置物を持っているが、インディアンは重たく頭を垂れ体にまとった伝統的衣装の美しさがなお哀しく、アルバムの雰囲気とも相俟ってとても印象深い。

一方で今朝まざまざと見入った8月の来日公演のフライヤーには同じように馬に乗り、しかし太陽の光を浴びながら両手を広げて天を仰ぐインディアンの姿がある。これはいわゆる「Apeal to the Great Spirit」という、これも有名な彫像(サイラス・エドウィン・ダリンという人の作品だそう)がモチーフにあって、「大いなる精霊への訴え」というとても希求的でホーリーなイメージ。僕の印象には『Surf's Up』での絶望的なインディアン像がまず先にあったので50周年リユニオンのフライヤーにこの太陽を浴びるインディアン像が用いられているのは象徴的だなあと思ったのだけど、そもそもこのモチーフは『Surf's Up』よりも前、『Smile』制作に頓挫したビーチボーイズが1967年にBrotherというレーベルを立ち上げたときのレーベルロゴとして登場したのが初出だということに気付きました。

カール・ウィルソンは1975年に「なぜロゴにこのイラストを?」と問われて採用した理由を「僕らのおじいさんが言うにはインディアンの精神的ガイドが僕とブライアンとデニスを“向こう側”から見守ってくれるらしいから」と答えたそう(ロゴを選んだのはブライアン)。カールはこのロゴのことを「The Last Horizon;最後のホライズン」と名付けたという記述を見て僕の次作に入る予定の「一角獣と新しいホライズン」との呼応を感じて「わ!」っと思ったりした。アメリカ・インディアンはお互いが敵ではないという合図に微笑み、そして微笑み返すらしい。まさに「スマイル」とはそういうことなのだな。

ちょっと前に読み始めてなかなか先に進まないアメリカのカルトアイコン、チャーリー・マンソンについて書かれた本('74年刊行の、なかなかタフな本です)にもBBのデニス・ウィルソンのことが頻出するのだけど、僕がビーチボーイズに感じる大きな魅力は紆余曲折を経て清濁併せ持ったアメリカの光と影を体現して存続し続けているからなのだなーと改めて考えた薄曇りの午前中でした。8月の来日公演がとても楽しみです。来日記念サイトに僭越ながらウェルカムコメントを書かせていただきました。他の皆さんの愛あふれるコメントも読みごたえがありますのでぜひアクセスください!



Posted by monolog at 11:20│Comments(0)TrackBack(0)

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/monolog/51963343