2012年08月22日

英雄と悪漢(2012年のなつやすみ)



初夏から数ヶ月をかけてティモシー・ホワイト著「ビーチ・ボーイズとカリフォルニア文化」(400ページ超)をビーチ・ボーイズ来日公演前に、そしてドミニク・プライア著「スマイル」(これも300ページ超えの厚さ)をつい昨日読み終えた。特に「ビーチ・ボーイズとカリフォルニア文化」は小さな文字の2段組で、なんせブライアン・ウィルソンの曽祖父のストーリーから始まりカリフォルニア・カルチャーの栄枯盛衰と絡めて進んでいく“サーガ”で、気が遠くなるほどの読書だった(ブライアンが初めて作曲したり「ペットサウンズ」が完成するたびにガッツポーズをするくらいの)。

僕などは世代的に『PET SOUNDS』のシンフォニックな音像や『SMiLE』への幻想といったミステリアスなブライアン・ウィルソンに射す光と影に惹かれて'90年代にビーチ・ボーイズにハマったくちなのだけど、ここ数カ月の自分内BBブームにおいていろんな季節の(それこそ初期からブライアン不在の低迷期まで)彼らの歌がアメリカの風景だったということを再確認したのでした。だから読書の順番としてマイク・ラブ率いるBBのことを仮想敵として書かれたようなところもあるドミニク・プライア「スマイル」を読んでから「ビーチ・ボーイズとカリフォルニア文化」(これを読むとホントにBB理解力が高まります)を読めばよかったなあと少し後悔。そして先週のビーチ・ボーイズ来日公演を振り返ります(前回の記事はこちら)。



ゲストのAMERICAの演奏が終了、終始シンガロングしまくった僕は「今日はいい日だった。嗚呼、もう満足した」などと呟きながら暮れていく空をビールを飲みながら3塁側スタンドに立って眺めていたのだけど、ステージ後方のスクリーンに「Apeal to the Great Spirit」のインディアンとバンドロゴ(インディアンとBBの話はここ)が映し出されると俄然興奮してきて急いで自分の席に戻りました。

そしていよいよ「DO IT AGAIN」、もう一回やり直そうぜと歌われる歌からコンサートがスタート。サマソニのときと違いスタジアムに椅子が並べられたマリンフィールドでしたが1曲目から観客総立ち、基本的に終演までスタンディングの状態だった(老いも若きも!)。メドレーで繋がれるヒットソングはクラシックではなくエバーグリーン、僕は肉眼で、スクリーンで、オペラグラスでBBをずっと眺めていました(「ブライアン、サボってる!」「ブライアン歌ってる!」とか言いながら)。

デニス・ウィルソン、カール・ウィルソンの映像と声と同期して演奏されたパートはとても感動的で、ブライアンはそのとき涙か汗か、タオルで顔を拭っていたのだけど、そういう感傷的なシーンを切り裂いて楽しい雰囲気にぐいっと引き戻すマイク・ラブの陽性のオーラはとてもパワフル。ドミニク・プライア「スマイル」のなかでは徹底的に悪者として描かれるマイク・ラブだけれども彼なくしては50周年のBBを観ることはできなかっただろう。「英雄と悪漢」と役割を振り分けるのは短絡的で行き過ぎだけれども、マイク・ラブあってのブライアン・ウィルソンなのだと改めて感じた。デビュー当時の映像を見返してみてもブライアン以外のみんなは(デニスとカールはいなくなったけれど)全然変わっていないのだな、と感じる。

全米ツアーから聞き伝えられた40曲越えのステージよりは短かったけれども(「Disney Girl」は聴きたかった)たっぷり2時間のライブ。新曲2曲がとてもいい、というのも嬉しい。ブライアンは僕の父親と同い年の70歳、マイク・ラブは71歳だがこの日を皮切りに4日で3公演、どんどん演奏曲目が増えていったというからすごい。会場で会った友人知人、声をかけてくれた皆さん、お疲れさまでした。楽しかったですね。僕の夏休みは終わったけれど来日公演後も自分内BBブームは終わらないままです。

Posted by monolog at 09:53│Comments(0)TrackBack(0)

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