2013年05月27日

フェスになった読書と朗読オーケストラ



昨日のこと、朝早くから上野恩賜公園水上音楽堂へ。読書のフェスという、物書きの人たちが朗読メインのパフォーマンスをするイベントに行ってきた。作家の高橋久美子ちゃんと呑んでいるときに「読書のフェスではどんなことをやるの?」という話になって、「巣巣でやったみたいな朗読合唱ができたら面白いんじゃけどー」「おれその日遊びにいくよ?」「私も行きますよ」とその場にいた何人かでにわかに盛り上がり、すぐに友人知人にメールしたら合計9人の合唱隊ができあがった。久美子ちゃんが原稿を用意したのが2日前で、練習は当日の朝。しかし“朗読オーケストラ”のメンバーはみんなわくわくと楽しそうに新緑の上野公園で「あめんぼあかいな」と声帯を震わせる。

トップバッターの久美子ちゃんはまずひとりで詩やエッセイを読む。そして数百人のオーディエンスの前で朗読オーケストラの初舞台。ドレスコードは白いシャツと蝶ネクタイ、だれも口ごもることなく言葉を噛むことなく、振り付けもあったがこれもばっちりで、輪唱部分もうまく重なりました。若かりし頃の学園祭の熱狂にも似た楽しい感覚。朗読している間遠くから祭りばやしのようなものが聞こえてきて夏の入り口を感知。客席で観てくれていた高木正勝さんが「面白かったよー」とニコニコ笑ってくれたのが嬉しかった。

そこから先は水上音楽堂に吹く風とか都会のカラスの喧騒とか、蓮の池に照り返す日差しに目を細めたりしながら書き手としての表現者の皆さんの生の声を聴く。“お直し屋”横尾さんのピアノとのリーディング、コンドルズ近藤さんの歌声、大宮エリーさんのキャッチーな声、「魔女の宅急便」の角野栄子さんの懐かしいような朗読、宮沢章夫さんのクスリと笑ってしまう話。

ステージ裏では久美子ちゃんが高木正勝さんと話をしている。僕はかつて高木さんの『COIEDA』というアルバムをバックトラックみたいに流しながら曲を書き、それは「clementine」という歌になったのだけど、そのことを伝えると「そういう作り方ってあるよね。言葉でもそうじゃない?」という話になった。高木さんの電子ピアノを使ったパフォーマンスは圧倒的で「girls」は天に登っていきそうなほどだった。急遽ステージで高木さんと久美子ちゃんの即興セッションが始まり、ドキドキしながらそのスポンテニアスな一部始終を目撃、すごい風景だった。

出演者の皆さんがそれぞれの言葉で言っていたのは「言葉の意味よりも音が大事だ」ということで、言葉を声に出してリズムに乗せることの効用を思った一日でした。知り合いから来た『新しい青の時代』の感想に「オープニングでいきなり山田くんが“なぜ歌を歌うか”を高らかに明確に宣言していて衝撃的だった!」と手紙をくれたのだけど、それは「言葉にすると薄っぺらいから音符を並べて歌を歌うんだろう」というフレーズのことだろうけど、言葉に生気を吹きこむのはその人の息なのだなあ、と改めて感じた。

高橋久美子ちゃんに『新しい青の時代』へのコメントをいただいた。
今もっとも共感を抱く作詞家、作家である彼女が会うたびにこのCDを褒めてくれるのが嬉しい。


“心がぱーって開いて、山田さんの声がいろんな風景をつれてきてくれます。
晴れだって雨だって嵐だって、毎日の生活をまるごと受け止めてくれる、
楽しくて優しくて強いアルバムです。” ―高橋久美子(作家・作詞家)


Posted by monolog at 08:33│Comments(0)TrackBack(0)

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