



昨日のこと、夕方から出かける。高橋久美子ちゃんが誘ってくれた新代田FEVERのイベントへ。思えば5月の始まりに“cottonnoha”という、歌と朗読のイベントを巣巣でやってからの1ヶ月、いろんな場所で彼女が朗読するのを目撃してきたのだけど昨日はそのひとつの完成形だったのでは、という印象。言葉と声が雨の後の草木のようにバッと枝葉を広げて伸びていくような風景。
共演の高野寛さんの3人編成での演奏に惹き込まれる。「虹の都へ」も「ベステンダンク」も色褪せないクラシックだけれども最後に歌われた「確かな光」のシンプルな力強さに心が震えた。久美子ちゃんと高野さんの即興セッションは白眉で、ギターのディレイやフィードバックの音に呼応して語る言葉のリズムが変化していったりフレーズがループしたり、“音楽”とか“朗読”というカテゴリーを軽々と越えていくような自由さがあって、うむむと唸ってしまうほど。
終演後高野さんに挨拶して新しいCDを渡す。ニューアルバムに『新しい青の時代』というタイトルをつけるにあたってのいろいろな調べ物のなかで、高野さんの「blue period」という初期の楽曲に遭遇した後だったので(ピカソの作風である「青の時代」は英語では「blue period」というのだけど、僕は『“新しい”青の時代』についてただシンプルに『blue』という英語タイトルをCDの背表紙に記載した)なんだか個人的にとても意義深く、牧村憲一さんの書籍経由で感銘を受けた、トッド・ラングレン氏が高野寛さんに伝えたという「自宅録音派は歌うためにライブをやるべきだ」という言葉についてもあらためて思い直した夜でした。帰路、月がとても明るかった。
6月になりました。新しい青の時代の始まりです。