2013年10月15日

“brand new blue” tour 2013(DAY22:10月13日 長野 上田 ヒトノユメ 十五夜祭り)




明けて13日の日曜日は雲ひとつない快晴、本当に天気に恵まれている。松本から上田への移動は少し遠回りして諏訪湖まで戻り、高速を降りて白樺湖高原を越えてゆくルートを選択。赤や黄色に移り変わる途中の木々に目を惹かれる。「なんだこの景色は…色は…」というような、まさに「心がぱっと晴れるような」風景の連続。紅葉を敷き詰める季節ももうすぐ。この日も山、山、田、山、田、山、田という風景に自分のルーツを見るよう。山羊とおばあさんがひなたぼっこするシーンにも遭遇。昔からある“日本”を感じた。

上田に着いたのはお昼過ぎで、先月ヒトノユメを訪れたときにもらった散策地図を見ながら昨日の試練の夜でくたびれた身体に栄養補給を、と上田駅前の若菜館でうなぎ定食(超美味)、そしてみすゞ飴の飯島商店の建物(重要有形文化財)を眺めて、立ち寄ったアラビックカフェのマフラージでは「山田さんですね?」とアラビアの民族衣装を来た店主に声をかけられた。「ヒトノユメのボランティアスタッフなんです」という彼女、ヒトノユメが地元上田と親睦を深めているのがよくわかりました。少しそこで休憩させてもらい、上田の街のことをいろいろ聞く。どれが太郎山かもようやく認識。街を歩くとそこかしこに高橋久美子作品の言葉が。



ヒトノユメお月見ライブの会場に着くと久美子ちゃんと白井さんはサイン会を始めるところだった。東京から来ている顔見知りのスタッフたちもいて地元のボランティア(山賊団と呼ばれていた)とともに機敏に設営をサポートしてくれた。巣巣から借りてきたPAシステム、それを若手実力派エンジニアである古賀氏(こがうじ、歴史好きで「高橋久美子が行く!」に欠かせない語り部でもある)が臨機応変に操作してくれる。すべてが手作りなのにストレスがまったくない素晴らしい現場。

ヒトノユメ会場で販売されている冊子には高橋久美子朗読CDというのがセットされていて、これは付録というには内容の濃い全18トラックの大作である。このCDを夏の暑い日にうちの仕事部屋にこもって録音したのだけど、うちにある様々な楽器を久美子ちゃんは即興的に爪弾き、操り、叩き、鳴らしてどんどん朗読が音楽的になっていった。「わあ、やっぱこの人は音楽的なビートの上で言葉を操るのだなあ」と感心したのだけど、この日のステージではそのCDの雰囲気を再現するべくレコーディングで使った楽器を持参して久美子ちゃんに託しました。久美子ちゃんと相談して2曲コラボレーションしようということになっていたのだけど、秋の月のことを歌った「harvest moon」と新しくできた「太陽と満月」に素晴らしい言葉を書き下ろしてくれていた。準備をしていくうちにどんどん日が暮れていって煙突の上に月が昇ったのを見たときに息を飲むほどの感動だった。

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とっぷりと日が暮れてステージを仄明かりが照らすなかで開演。高橋久美子、画家の白井ゆみ枝(上田は白井さんのホームグラウンドです)両氏に呼び込まれて3人でのトークから始まったお月見ライブはまず久美子ちゃんの朗読。スティールパン、グロッケン、カリンバ、ピアノと楽器を操りながら。お客さんとの掛け合いも楽しく(「太郎山やーい」「太陽やーい」)、この朗らかな雰囲気は彼女の陽性のヴァイブレーションによるものだなあと改めて思いました。呼び込まれて一緒に1曲「harvest moon」を。「今晩の月は満月に少したりないからこそ可能性を秘めた一番美しい夜」という文章。

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上田や長野はもちろん、遠方からもたくさん集まってくれたお客さん、僕のライブを初めて観る人も少なくなく、とても熱心に歌もおしゃべりにも耳を傾けてくれるのがわかった。ステージからは目の前に煙突がすっと立っているのが見えるので僕はその煙突から立ち上る煙をイメージしながら空に向かって歌っていました。「月あかりのナイトスイミング」はこの日のために歌うために作られたような気がした。思えばこの歌は徳島でのヒトノユメ展を観にいく道中がきっかけでできた歌なのだから運命的。

もう一度久美子ちゃんを呼び込んで「太陽と満月」という新曲、「君はおしゃべりなブルーバード/僕は嘘つきな猫」で始まる朗読と歌でのセッション。最初の1行だけ指定して書いてもらった文章は今改めて読み返してもとても“高橋久美子的”で、この夜のためだけにするのは勿体ないな、と思いました。リハーサルもそこそこでぶっつけ本番でしたがとても得難い数分間でした。

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寒くてたまらないはずなのにお客さんはみんなニコニコしていて、話をするたびに頷いてくれたり拍手してくれたり、最後までいろんな優しさで覆い尽くされたような温かさを感じるお月見ライブでした。こんな空間を作った久美子ちゃん白井さん、そしてスタッフのみんなと山賊団に感服、そしてそこに歌で参加させてもらえて本当に良かったです。感謝。終演後は多めに持ってきたCDが売り切れるというちょっとめったにない光景。写真や文字では伝わらないような、ものすごく美しい時間を共有しましたね。ここで会えた皆さんにまたどこかで(あるいはまた上田で)会えたら嬉しいです。ヒトノユメスタッフみんなで片付けをして、さらに山を登ったとこにある白井さんの叔父さんの家に移動。星がとてもきれいで、さらにはなんとタヌキを目撃。打ち上げ、ここでもスタッフの見事な手さばきで長野名物のキノコ満載のお鍋をいただき心も身体も温まりました。




追記:言葉や写真では全容がうまく伝えられないヒトノユメを
具体的に紹介した上田市政企画チャンネルの番組はこちら

Posted by monolog at 12:45│Comments(0)TrackBack(0)

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