2013年10月17日

台風一過の夜の太陽



昨日のこと、朝からすごい風。午後になって台風が過ぎ去っても吉祥寺は雲晴れず複雑な空。そんななか武蔵野公会堂で開催されたイノトモ15周年記念コンサートに出かけました。思えばイノトモちゃんにうちに来てもらって「やまびこの詩」のコーラスを録音したのが今年の2月。そのときからイノトモちゃんの5年ぶりの新作の話を聞いていたし、インディペンデントリリースの方法の相談、作戦会議などすることもたびたびだったのでこの日のライブはちょっと感慨深いものがあった。

年季の入った公会堂、味のあるホール。客席にはイノトモJr.の同級生と思しき子どもたちがたくさん詰めかけていてとても雰囲気がよい。ステージ上のメンバーはレコーディングと同じベースの伊賀さん、ドラムは北山ゆう子さん、そして安宅くんがいろいろな弦楽器を添える。新譜の曲とあわせて過去のキャリアを総括するような選曲は15周年ならではのもの。僕が一番思い出すのは2001年の「饒舌スタッカート」の時分(イノトモちゃんは2nd『やさしい手』の頃か)大分のタワーレコードで共同インストアイベントをやったことで、そのときに「なごり雪」と「Let it Be」を繋げて一緒に歌ったのだ。そこから10余年。

「子供向けの歌を」と歌われた童謡は微笑ましたかったが、子供だけでなく大人たちもみんなキュルキュルと時間が巻き戻って子どものころの記憶をくすぐられたのではないか(僕はそうだった)。前日に観たベス・オートンが風に揺れて消えそうで消えないキャンドルの炎のようだったとするならばこの日のイノトモちゃんは雲がかかって雨が降ろうと、夜になって見えないところでも根源的にはずっと輝いている太陽のようだった。それを母性というのでは言葉が足りなくて、彼女自身が「僕」であり「女の子」であり「パパ」「ママ」「宇宙」なのだなと思いました。自分が異性だったらイノトモのような歌を歌いたい。

終演後は羊毛とおはなの羊毛くんが僕を見つけてくれて笹倉慎介くんを紹介してくれた。打ち上げに流れてキセル友晴くんと話せたのもよかったし真夜中が過ぎてどんどん面白くなっていく吉祥寺の夜も地元ならではのもので、台風一過の夜でも空には雲が散らばって月明かりを複雑なものにしていたけど冷たい空気を吸い込んで気分のいい帰り道でした。15周年おめでとう。

Posted by monolog at 12:12│Comments(0)TrackBack(0)

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