2014年03月05日

「お世話になったあの方へ」



昨日のこと、夜になるまでたまった仕事をせっせとこなしてから出かけて、スターパインズカフェで杉真理さんのライブを観た。杉さんの300曲にも及ぶという他アーティストへの提供楽曲のみを演奏するという特別なステージ。杉さんの40年近いキャリアをまざまざと見せつけられた感じで、一曲一曲回想したり解説したり、ときにネタばらしまでしながら楽しそうに歌う杉さんはまさに“全身音楽家”でした(大瀧さんの逸話も嬉しかった)。杉さんが詞曲を書いたものはもちろん、山口百恵さん、さくらももこさん、秋元康さん、竹内まりやさんとその共作陣も多岐に渡り、個人的に印象的だったのは小林克也とザ・ナンバーワン・バンドに書いた「今宵踊らん」という曲、「小津の映画に出てくる笠智衆のような」という歌詞の斬新さ。そしてザ・キングトーンズに書いた「夕焼けレッドで帰りましょう」にぐっと感動したのは同じくキングトーンズが歌い上げた高野寛さんの「夢の中で会えるでしょう」を数日前に演奏したからかもしれない。初めて杉さんに会って今年で15年。日頃の感謝を込めてもうすぐ還暦の誕生日を迎える杉さんに早めのプレゼント。杉さんはいつも優しくていつも大きい。

この日のライブは“お世話になったあの方へ”というタイトルだったのだけど、とても杉さんらしい、心からの言葉だなと感じました。楽曲提供をするときに歌い手の方から「素敵な曲を書いてくださって」と感謝されて恐縮して必ず思うことは「こんな曲を書くきっかけをいただいてありがとうございます。この歌をよろしくお願いします」と思うのです、いつも。そんな思いを抱えながら帰ってきてから先週届いた中島愛さんのライブDVD『5th Anniversary Year’s Final Live メグミー・ナイト・フィーバー』を観た。都合がつかずに観ることが叶わなかった昨年秋の中野サンプラザでのライブ、コーラスにHICKSVILLE真城さんが。初めてライブを観たときにもステージと客席の一体感に驚いたのだけど、映像作品でもその熱気が伝わる。歌詞を書かせていただいた「金色〜君を好きになってよかった」はアンコールで7分半をかけて、客席との歌の掛け合いも素晴らしかった。昨年末にライブを観にきてくれた愛さんからも「素敵な歌詞を…」と感謝されて嬉しかったのだけど、僕が書いた歌詞がコンサートのなかで“まめぐ”さんとファンの皆さんをつなぐ共有物になっているのを感じて心から感動しました。

僕も提供楽曲を演奏する機会を持ちたいなあ、今あの曲やこの曲を自分の声で歌ったらどんなふうに響くかなあ、などと想像が膨らんだ夜でした。

Posted by monolog at 11:17│Comments(0)TrackBack(0)

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