2014年04月11日

季節のグラデーション、青から緑



昨日のこと、朝からずっと作業して午後に『緑の時代』マスターディスクを入稿。5月発売へと確かな一歩が近づく(かなりスリリングなスケジュールでもある)。一息ついて巣巣でのライブの準備、すべての歌がこの日のためだけの演奏になるので程よい緊張感。夕方からミルブックスと「ひなたのねこ」の校正打ち合わせ。すでに予想以上にいろんな本屋に並ぶことになっていて嬉しい限り。ポチは写真家斎門富士男さん宅の猫だったので仔猫のころからたくさん写真を撮られていて本も数冊ある。大人になって貫禄のあるポチの姿を切り取った本が出せることが心から嬉しい。斎門さんにも見てほしいな。

夜になって友だちが井の頭公園で花見をしているというので、こんな春の嵐の日に…、とマフラーをぐるぐる巻いて出かけていった。完全に葉桜になった風景も夜の灯りのなかで見ると風情があって、「ああ、春が終わったな」という感慨は夏が終わったときの安堵とはまったく違う種類の感情だ。この時期花見をしているのはだいたいが学生みたいな若者で、初めて上京した1992年の春のことをずっと思っていたのだけど、それはカート・コベインが死んだ春だった。まさに今夜、アメリカでは“ロックの殿堂入り”のセレモニーが行われて、R.E.M.のマイケル・スタイプに導かれてニルヴァーナが“ロックの殿堂”に名を連ねる日になる。

『緑の時代』から1曲、この春にニューレコーディングした「点と線」をフル試聴開始しました。ベース、ドラム、クラベスみたいなパーカッションとギロ、さらに机を鉛筆で叩いたり、ピアノ、ギターとバンジョーと声、声、声。録音とミックス含めてすべて自分でやって、とても楽しいひとりセッションでした。新しいSNSサービスnoteというのも面白そうなので初めてみました。こちらには10年以上前に録った最初のバージョンも。こちらのフォロワーが増えてきたらまた新しい試みも初めてみようかと思います。来週はプラネタリウム公演以来のステージとなる吉祥寺スターパインズカフェでのイベント。どうぞこちらへもぜひ。遅い時間の出演になると思うので仕事帰りにも。最新型の山田稔明にご期待ください。




点と線/山田稔明

今日は今日でいい日だった 
なにも起きなかった  曇りのち晴れだった
好きな歌を聴いて読みかけの本で 手遊びして過ごした

遠くには軋む線路の音 通りには行き交う人の声

やっと繋がり始めた点と点 ただ弦を掻き鳴らし十余年
この一方通行ばかりの街を 迷いながらひたすら駆け抜けて
やがて混じりあう線と線 人の波がさざめく交差点
この3分半の終わりに長い呪文 僕があたためてきた魔法で


今日は今日でいい日だった
昨日とも違う なにもない一日で
猫が窓際で見つめるその先を並んで眺めてた

ときには切ないふりをして 遠い目で思い出すのもいい

ちょっと見栄を張り過ぎたデートコース
ただ下を向いて待つ15分
この一週間でひたすら長い台詞あたためてきたのに
結ばれず握る手と手 6時の鐘が鳴る交差点
この一生分の思いに甘い痛み 君が張り巡らせた魔法で

Posted by monolog at 10:13│Comments(0)TrackBack(0)

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