『緑の時代』はすべての楽器と歌、録音とミックスとマスタリングまで自分ひとりでやった、いわば孤独なアルバムだったのだけど、この日は7人がかりで再現できて嬉しかったです。僕自身が「ああ、こんなふうなサウンドになるのかあ」と楽しんでいた気がします。たっぷりリハーサルをして本番準備。ステージには緑の絨毯、メンバーのドレスコードも“緑”でしたがみんなが思い思いのグリーンでした。



オープニングのSEはR.E.M.『GREEN』のなかから「Stand」、好きな歌を出囃子に使うと元気が出る。スクリーンには愛猫ポチの映像。この1ヶ月はホントに猫と緑の月間でした。完璧な猫ジャケとなった新作アートワークを背負って「点と線」「夢のなかの音楽」「ココロ/コトバ」と『緑の時代』から立て続けに演奏。レコ発ライブって本当に楽しい。「光と水の新しい関係」は初めてリハーサルで合わせたときに「わ、sugarくんこの歌めっちゃ好きでしょ。ばっちりだ。もう練習しなくていい」と練習を封印したくらいしっくりきた歌。「一角獣」を歌うとまた新しい夏がやってくるのか、と思う。お客さんのドレスコードも“緑”、会場全体が新緑の風に包まれているようでした。
「太陽と満月」も演奏するたびにどんどん変わっていくな。今はどっしりとした安定感と横揺れのグルーヴ。安宅くんと綾香のコーラスが入って3つのハーモニーになるところもすごくいい感じ。1997年に書いた「僕たちの旅〜自己嫌悪'97」は当時高橋徹也くんの「真夜中のドライブイン」に触発されて書いた曲。高橋徹也くんをサポートしているsugarbeansと演奏していることが不思議。1995年に22歳の僕が書いた「high tide」に今年22歳の綾香がハーモニーをつけるのも何かの縁。点と点がつながって線になる感覚がいたるところに。



「夜のカーテン」「月あかりのナイトスイミング」は3月のプラネタリウムでの夜の記憶がよみがえる。思えば今年は春から忘れられない瞬間の連続である。小学生のときに書いた詩は小さな、しかし確かな歌に昇華された。「ナイトスイミング」は登場してくる順番に全員が主人公。真里さんのピアノ、僕が歌で切り込んで、上野くんのフルートとsugarbeansのマーチングドラムで光が差して安宅くんのスライドギター。エビちゃんのベースが物語を進めて綾香のコーラスが後押しする。この日のひとつのハイライトでした。本編の最後は「猫のいる暮らし」を軽快に演奏。猫が元気に飛び跳ねているような歌になりました。
アンコール最初の「hanalee」もとてもよかった。この歌は時間がたっても自分のなかで全然色褪せない。飛び入りゲストでfishing with jhn五十嵐くんを呼びこんで8人になったステージで歌うのは「サニーレタス」。これも1995年22歳の山田稔明が作った歌。こんな他愛のない歌をニコニコしながらみんなで合唱する2014年がやってくるなんて思いもしなかった。どんな言葉もじゅうぶんな思いを込めれば素敵な響きになる。いつだってコトバよりもココロのほうが先にあるからだ。たった2分弱の歌には説明不足ゆえの様々な感情が目一杯つまっている。本当に楽しい時間でした。ありがとうございました。







