2014年07月20日

20年全力で脱力



昨日のこと、渋谷公会堂で栗コーダーカルテットの20周年記念コンサート。4月1日のエイプリルフールに「20周年の感謝を込めてチケット代20円!」というニュースが出て、同じように僕も『緑の時代』と「ひなたのねこ」リリースの急告をした直後だったので(同じく坂本慎太郎さんの新作『ナマで踊ろう』もエイプリルフールに情報解禁だった)もうなにが本当でなにが四月バカなのかわからなくなって混乱したことを憶えていて、そしてすべてのことが本当だった。いろんなことがあったこの2ヶ月半だったなあ。タイトルに記した「20年全力で脱力してきた」というのは開演前の挨拶で寒空はだかさんが栗コーダーカルテットのことを評して言った言葉だが、言い得て妙。しかし継続して脱力するのはいきみ続けることよりもすごいことだ。力が入り過ぎた小さな笛はきれいな音を鳴らさない。

4時半に始まったライブは軽妙なMCを挟んで絶えない笑いを伴って進んでいく。栗原さんはご近所さんなのでよく定食屋でばったりお会いするのだけど、そのときのニコニコした印象とステージ上が完全に一致している。川口さんは稲川淳二ばりのいい声で会話をかき回し、近藤さんは貴公子のようにポロポロと音のシャワーを振りまいて(ハイポジも大好きでした)、関島さんは学校の先生のようだ(15年前「ストロボ」という曲でチューバを吹いてもらった)。R.E.M.の作品タイトルに「Perfect Square」というのがあるが、“正四角形”という意味にとどまらない“完璧な四角形”という印象を受けました。個人的“トシアキ界”のトップ2である知久寿焼さんがゲスト(ちなみにトップ2のもう一人は唐沢寿明さん)、その唯一無二の歌を聴けたのも嬉しかった。

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」もビートルズも、鉄板ネタの「ジョーズ」や「ダース・ベイダーのテーマ」も、スーツに着替えて奏でられたピタゴラスイッチ組曲も後半の圧倒的なアンサンブルもどれも素晴らしかった。歌のない音楽を聴きながら不思議なことにその音像の中で猫が遊んでいる風景や眠りこくっているシーンと様々な言葉、想いが浮かんできて何度も泣きそうになった。アンコール含めて46曲、時計を見ると4時間が過ぎていました。栗コーダーカルテットの皆さん、20周年おめでとうございます。

Posted by monolog at 11:04│Comments(0)TrackBack(0)

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