混みあう道を走り真里さんをピックアップしてタワーレコード渋谷へ。やはり大きなレコードショップに来るとわくわくする。10数年前にサンフランシスコに行ったときにアメーバミュージックの奥深さに圧倒されたが、今のタワー渋谷も世界に誇る規模のストアだ。リハーサルの段階からお客さんが次々集まってくれて、去年よりも高い熱量を感じて嬉しくなった。タワー渋谷ではB1、1階、3階と時間を同じくしてイベントが行われていて舞台裏もバタバタと活気溢れていました。



たくさんのお客さんを前に始まったインストアライブ、「点と線」を皮切りに『緑の時代』を中心に演奏。イントロやアウトロを少しアレンジして短くして曲数を多くしました。ライブを目当てに集まってくれたファンの皆さんの層の向こう側に聞こえる音に誘われてきた通りすがりのお客さん、少しずつ円が広くなっていくのを嬉しい気分で眺めながら。高野寛さんのカバー「夜の海を走って月を見た」とGOMES THE HITMAN「雨の夜と月の光」なども交えて、真里さんがキーボードを弾いてくれるときには外せない「月あかりのナイトスイミング」を最後に、と思ったのですが盛り上がって締めくくれずに最後の最後に「サニーレタス」。
サイン会にもたくさんの方が並んでくれました。正直に言うとこのサイン会のときが一番ドキドキするのですが、この日は時間オーバーするくらいにいっぱいサインと握手ができて夏の思い出ができた!と感動しましたよ。いつも応援してくれるファンもいれば、GTH以来山田ソロは聴いてなかったという人もいる。親子で来て、時間の流れを語る親に人見知りする子ども。僕は休まずずっと続けてきて、これからも続いていくと思うのでどうぞまた会いにきてください。流通でお世話になっているブリッジスタッフも歓喜の表情、とてもいいインストアライブができました。今回も全国のタワーレコードのあたたかい応援にお世話になりました。





渋谷から等々力の巣巣へ移動。降っていた雨はあがって青空と日差しが。たまがわ花火大会も予定通り行われることになってよかった。巣巣に到着するとはしもとみおさんの眠る猫彫刻ワークショップで賑やか。ポチの姿を彫ってくれたはしもとさんと初対面でご挨拶。ミュージシャンでエッセイストの猫沢エミさんが駆けつけてくれた。15年前から関わりのあった方だが猫のあれこれをきっかけに繋がりなおした人。お会いするのは10数年ぶり。ポチが招いてくれたのだ、きっと。10月にレコ発に誘ってくれたバンド [lifter] のnone*ちゃんとSuzuki-manも展示を観にきて、そのままライブも楽しんでくれた。コントラリーパレードまゆちゃんも遊びにきてくれた。彼女もポチと会って猫を飼ってみたくなっているひとりだ。
ひなたのねこ展に参加してくださった作家さんもたくさん。桑原奈津子さんはポチに手紙を。秋山菜穂さんも日置由香さんも可愛いポチを描いてくれた。ヒサマツエツコさんは「ポチマスク」という奇天烈なものを作ってくれて、みんながそれを付けて記念撮影しているのが可笑しかったな。五十嵐くんも忙しいところを駆けつけてくれて、彼のポチに対する男気のようなものを感じました(五十嵐くんの日記)。





会場は満員のお客さん。開演と時を同じくして始まったたまがわ花火大会の音がよく聞こえる。巣巣の前の道の下り坂の向こうに大輪の花火が咲くのを見ました。ひなたのねこライブ、この日は歌詞と曲名に「猫」が出てくる曲しかやらないというしばりを。まずは「点と線」からスタート。「猫が窓際で見つめるその先を並んで眺めていた」と歌われるこの歌はポチと暮らし始めてすぐの2002年に書いた歌。「光と水の新しい関係」は猫の名前を呼ぶ歌。僕は様々な想いを巡らせながら「夏の日の幻」を今年の夏何回歌っただろうか。「太陽と満月」のなかに出てくる「君は小さなライオン」とはポチのこと。僕だってちっぽけな風に立つ猫なのだ。ポチがいなくなってから「スティーブンダフィ的スクラップブック」の真意が理解できた気がします。


巣巣のカーテンにポチの映像を投影しながら演奏したので、ちょっと目をあげるとそこに猫。しみじみと「かわいいなあ、おまえは」と思う。皆さんに初めてお見せする映像もあったのだけど、みんなが「わあ」とか「かわいい…」とつぶやくのがとても嬉しく誇らしい。「猫町オーケストラ」という曲を久しぶりに歌ったがこれも可愛くて悲しくて優しい歌だ。「ポチの子守唄」と「些細なことのように」は祈りのように響いて、鼻をすする音があちこちから聞こえるから僕はお客さんのほうを向けない。真里さんに巣巣のアップライトピアノを弾いてもらうのだからこの曲は外せない、と思った「月あかりのナイトスイミング」には猫が登場しない!それならばこの日だけは、と“そっと先回りするウサギ”さんに一休みしてもらって、この日は猫が代役を。
アンコールでは「千年の響き」をひとりで。写真絵本「ひなたのねこ」を出させてくれたミルブックスの“ミル”はフランス語で“1000”、ミルブックス藤原さんのおかげでポチの形見ができたことを感謝しながら。最後の最後に会場全員のラララが重なった「日向の猫」で「ひなたのねこ」展は締めくくり。7月26日からの1ヶ月、たくさんの方にご来場いただきました。参加してくださった作家さんたちにも大きなお感謝を。本当に幸せな空間でした。全国から展示の要望をいただいて嬉しいです。次回は鎌倉molnでの秋の「ひなたのねこ」展開催が決まっていますのでまた詳細は追ってお知らせします。
僕もポチもたくさんの愛情と想いとメッセージをいただいて、本当に幸せ者です。
2014年の夏を僕はきっと忘れないでしょう。ありがとうございました。
