2014年09月14日

夜の墨田川を走って月を見た(2014年9月13日 @ 蔵前 NAOT TOKYO)



昨日のこと、朝からポチ実とニャーニャー格闘したり、来週のライブのための資料音源をレコーディングしたりバタバタ。昼から出かけて等々力の巣巣へ。「からくり箱と遊ぶ」展に間に合った。木工作家の角田くんと、同じく木のスプーンを作っているmiyazono spoonの宮薗さんにも会えた。展示は本日14日まで。たくさんの、なかなか開かない箱が迎えてくれます。

そこから蔵前NAOT TOKYOへ。高野寛さんのトーク&ミニライブ、この日は音響関係のお手伝いをすることになっていたので巣巣のPAを借りて運ぶ。NAOTのライブこけら落としは3月の高野さんとのイベントだった。2度目のイベントもちゃんと成功させたい。蔵前についてセッティング、高野さんのMacBookProからスクリーン投影するためのプロジェクタと手作りのスクリーン。すべて持ち寄りの機材でも素晴らしい空間ができあがるのは隅田川から吹いてくる風とスカイツリーの気配があるからかもしれなくて、この日はフッとするウトウトと気持ちのいい居眠りをしてしまうような暮れなずむ夕方。NAOT TOKYOから見るスカイツリー、いつ来ても何度も写真を撮ってしまう。

満員の会場で始まったイベント。3月にレコーディングのために訪れたブラジル、リオ・デジャネイロでの滞在風景の写真を投影しながらのトーク、そのエピソードのひとつひとつがそのまま『TRIO』という最新作が抜群に風通しのいいサウンドになった要因のように思える。目に鮮やかな原色が自然のなかにあり、同じように独特の色彩感覚の看板やグラフィティ、海岸の風景など心惹かれる写真がたくさん。録音するはずだったスタジオが突然キャンセルになったり、レコーディング作業が止めどないおしゃべりの合間に行われた逸話などは予定調和ではないハプンスタンス(偶発性)の積み重なりが『TRIO』の音像に結びついたのだな。

ライブはアコースティックギター(Taylorの小ぶりな可愛いギターだった)の繊細な響きと歌、小さなスペースでの贅沢なサウンド。雨音や足音、生活音やあらゆるノイズが“音楽”だと歌われる「(それは)Music」では会場あちこちから思い思いのリズムが聴こえてきた。突然「山田くん、いる?」と呼ぶ声!ここで来た…。直感的な高野さんに当日なにを言われても対応できるように車にギターも積んであったのだけど、なんの前触れも打ち合わせもない、それこそサプライズとハプンスタンス。ガチガチに照れながらステージに辿り着いたときの高野さんのいたずらそうに笑う顔!高野センパイの抜き打ちテストのよう。

8月に『TRIO』と同時にリリースになった『高野寛ソングブック』のなかでカバーした「夜の海を走って月を見た」をこういう形で共演できたことが本当に嬉しかった。ギターを持たずにハンドマイクで歌ったのだけど、思えばトリビュート盤のバージョンは僕は楽器をすべてメンバーに任せて歌しか歌っていないのだった。美しい主旋律に高野さんは縦横無尽にハーモニーをつけてくれた。幸せな時間でした。あたたかいファンの皆様にも感謝。そして最後の「確かな光」に感動。これは2ヶ月前にポチのお葬式の翌日のVACANTでイントロだけ聴いて涙が出た曲だ。

夕方から夜まで高野さんとたくさん猫のことも音楽のこともいろいろな話ができて嬉しかったです。いつも寛容で優しく穏やかで素敵な高野さん。音楽を続けていく指針になります。anonymass、pupa、ワールドスタンダード、蓮沼フィルと八面六臂の権藤知彦さんも遊びに来られていて、初めてご挨拶ができた。終演後しばらくして、窓の外の隅田川の向こうを眺めるとスカイツリーの横にタマゴの黄身のような鮮やかな欠けた月。目で見ると大きく見えるけど写真には映らない美しさ。NAOT TOKYOと同じビルのなかにあるカワウソの写真家大沼ショージさんがとても素敵なステージの写真を撮ってくれた。ここ1週間ですっかり猫疲れ(楽しいんだけどな)していましたが、ものすごく元気が出ました。ありがとうございました。

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Posted by monolog at 12:55│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
高野寛さん、本当に素敵な方ですね。
私は7日広島logでのライブに行ってきました。
いきなり1曲目に「夜の海を走って月を見た」で始まり、生音での「確かな光」私もイントロでぶわ〜っと涙が溢れてきて、土砂災害を気遣って歌詞を変えて歌ってくださりとても感動しました。

Posted by ふみ at 2014年09月15日 00:45