
ポチが逝って147日。9月10日にポチ実がうちの猫になってから2ヶ月と少しが経った。ひょんなことからポチ実の姉妹が存在することがわかり、ポチ実と僕は妹のソラミ(あるいはチミヨ)と対面することができました。初秋から続く猫騒動もひとつの季節を越えようとしています。そして先日、もう一人の妹サビ猫のサビ子がうちにやってきたのです。サビ猫というのは黒と赤のモザイク模様の毛を持つ猫の総称で、英語では“べっ甲”と呼ばれます。三毛と同じく基本的にはメスしかいない。人懐っこいっていう説もあるけれどもサビ子の場合は…。




サビ猫のサビ子はAさんとBさん夫妻(登場人物については前回を参照のこと)と一緒にキャリーケースに入れられてやってきた。ソラミとはなんとか対面したポチ実でしたが今回はまったく姿を表さず。サビ子は極端に人に慣れておらず、Aさん宅で捕まえてキャリーケースに入れるのも大騒動だったそう。クリッとした丸い目が可愛いがずっと「ウウウウ…」と唸り声をあげて体を強ばらせている。
ソラミはとても大人しくて抱いたり撫でたりできたのだけど、サビ子はまったく触らせてくれる気配なし。同じ姉妹でもこうも違うのか。ポチ実は僕以外の来客には警戒をするから、ソラミとサビ子の中間くらいの気質か。性格のグラデーションのようなものがあるのかもしれないし、サビ子はもしかしたら人間に嫌な思いをさせられた過去があるのかもしれない。どれだけ声をかけても、猫じゃらしを目前に揺らしても軟化しないその態度を見ながら、猫の気持ちをいろいろ考えてみたがヒトには知れない感情の機微がそこにはある、はず。サビ子はこれから里親探しのためにまず人に慣れるトレーニングをするそうだ。来るべき冬、暖かい部屋で体をぐにゃぐにゃにして柔らかく眠る夜がサビ子に訪れますように。
サビ子が帰るとポチ実が鼻をクンクンさせながら階下に降りてきた。我が家の女王はポチ実だ。大暴れして、甘えて、欲しがって、かつおぶしを舞い上がらせ、いりこを撒き散らす。夜になると猫タワーの上、ハンモックで夢を見るように眠る。僕はポチ実のなかに確かにポチの魂を感じるし、ポチ実の個性も確立されてきたように思う。とにかく四六時中、いつも可愛いくて笑いが絶えない時間が続く。季節はもう冬、まだ新しい物語が待っているのだろうか。次回から「冬の猫騒動」編へ。
