




昨日のこと、新宿ディスクユニオンでレコ掘り。前日にも吉祥寺で杉祭りの合間にさくさくとやっていたのだけど、僕はレコード屋にいる時間が好きだ。自我をなくして無になれる、とすら言える。杉さんからもらったお年玉ではっぴいえんどマスターピースを買うという行為がとても意義深く思えました。去年から、買ったレコードをすべて写真に収めてインスタグラムにあげて記録しているのですが、2014年に買ったのはレコードやCDは三百枚ちょっとでした。思っていたほどではなかったので少し安心(?)しつつ。去年は“断捨離”という概念は自分には必要ない、と観念した年でした。省スペースのためにプラスチックケースから出してソフトケースに収納していた数多のCDをわざわざもう一回プラ・ケースに移すという無益な行為に精を出したりしました(探したいCDがすぐ探せるように背表紙が見えていることはやはり大事なのですよね)。今年もたくさんの音楽を発見/再発見できたらと思います。音楽家である以前に音楽ファンでありたいと思います。今月26日に武蔵小山アゲインで開催する「月あかりのナイトリスニング」は、ジャンルやアーティストではなくて“レコードショップ”をテーマにしてレコード愛を語る夜になりそうです。
昨年の個人的ベストアルバムは5月に出たコナー・オバーストの『Upside Down Mountain』でした。ポチの看病の間、ポチがいなくなってから後、僕の悲しみにずっと寄り添って張り詰めた空気を均してくれたのはこのアルバムとR.E.M.の『Unplugged1991-2001』だったのです。コナー・オバーストが主宰するバンドBright Eyesが2005年にリリースした2枚のアルバム(『I'm Wide Awake, It's Morning』『Digital Ash in a Digital Urn』)は僕のソロ活動に大きな影響を与えるメルクマールとなりましたが、今年でその出会い(『ripple』のジャケット撮影で訪ねたサンフランシスコのアメーバミュージックで買ったのです)から10年経つことに気づきました。昨年末にハンドメイドジン「MONOLOG vol.13」に書いた「超個人的BEST MUSIC 2014」を下記に転載します。
超個人的 BEST MUSIC 2014
今年は買ったレコードをインスタグラムに全部記録するというミッションを自分に課しました。「#買ったレコード」というカテゴリを見ると100円のレコードから高価なボックスセットまで飽きもせずにたくさんの買い物をしていることに呆れ驚きます。いつも年末にブログで書く年間ベストをMONOLOG誌上に書き残したいと思います。年末のお買い物の参考にしていただければ幸いです。
ブルース・スプリングスティーンの『HIGH HOPES』は今年前半の停滞した気分を威勢よく蹴りあげてくれました。『ボーン・イン・ザ・USA』全曲再現ライブのDVDが付いた国内盤がお薦めです。ジャック・ホワイトのソロ新作は「男ならこういうサウンドのレコードを一度は作ってみたいなあ」と思わされるやんちゃな1枚。アナログLPは内側から外側に向けて再生したり溝の部分にホログラムが浮き立ったり様々な趣向が凝らされた“モノ”として所有したくなる作りでした。
ベックとサム・アミドンはとても静かなレコード。ある時期の僕の心に寄り添うサウンドトラックとして何度も再生されました。6月に熱狂の来日公演を目撃したテイラー・スウィフトの新作も期待に違わぬ新機軸ポップ、来年5月の東京ドーム公演のチケットもばっちり確保、彼女はまだまだ僕を楽しませてくれるでしょう。
邦楽では高野寛25周年記念アルバムが群を抜いていました。坂本慎太郎新作も強烈でしたが、ポチを亡くしてどん底の気分のときにはあまり再生しなかったのでこれからまた味が出てくるはず。新編成KIRINJIの新譜は高樹さんの意地、緻密な言葉とメロディの融合、素晴らしさに感服。
そして今年僕にとっての忘れがたきレコードはコナー・オバーストとR.E.M.のアンプラグド完全版。ポチが病気で伏せているとき、看病しているとき、逝ってしまったポチの不在を埋めるかのように、ある時期ずっと静かに流れている音楽はコナーとR.E.M.だったのです。他の音楽は聴けないけどこの2作品ならちゃんと気持ちに寄り添ってくれた。僕もいつか自分でそういうレコードを作ることができたらな、と思います。誰かの孤独と悲しみに優しく寄り添う歌を。
2014年の10枚
R.E.M.『Unplugged 1999-2001』
Conor Oberst『Up Side Down Mountain』
Bruce Springsteen『High Hopes』
Beck『Morning Phase』
Jack White『Lazaretto』
Sam Amidon『Lily-O』
Taylor Swift『1989』
坂本慎太郎『ナマで踊ろう』
高野寛『TRIO』
KIRINJI『11』