ステージで何度か歌っているうちにどんどんこの歌がポチへのラブレターみたいな気がしてきて、『the loved one』に収録することになった。最初ランタンを消して聞こえてくるのは《コヨーテの声》だった歌詞、舞台はアメリカの荒野か砂漠だったのが、それがリアリティを持って半径数メートルの風景になり、聞こえてくるのは《猫の声》に変わる。その猫の声は庭に現れた仔猫ポチ実が発したものなのかもしれない。
レコーディングでは安宅くんにマンドリンを弾いてもらって珍しく僕は歪んだエレキを。真里さんのピアノとアコーディオンが心地よいメロディを奏でてくれる。立花綾香嬢のコーラスもいい。「夜明けを待っているのさ」ではなく「待っているのだ」にしたのは僕の力強い意思表明の証。手塚さんに参考として聴いてもらったのはTHE HOOTERSのCD。これは僕がお小遣いを工面して中学生のときに初めて買った洋楽のCDだった。時間を越えて完成した「small good things」、まるで昨日書いた歌みたいに新鮮だ。「些細なことのように」のピアノが鳴り止んでこの歌が流れてくると僕はすっと立ち上がって、光と風を呼びこむ新しい窓を開けなければ、という気分になる。


2015年6月19日発売(全国流通開始7月7日)
GTHC-0007 定価2000円(税別)
1.my favorite things
2.太陽と満月
3.ポチの子守唄
4.些細なことのように
5.small good things
6.猫町オーケストラ(album mix)
『the loved one』プレオーダーはこちらから。