2015年06月16日

猫町オーケストラ(山田稔明『the loved one』全曲解説6)



7月7日発売の『the loved one』収録曲の全曲解説。アルバムのクロージングトラックは「猫町オーケストラ」です。これは10年以上前に書いた古い歌なのだけど、個人的に大好きなので定期的に年に数回はステージで演奏してきた。GOMES THE HITMANの定例イベントのタイトルになり(イベントスタートと同じ時期に書いたはず)、2003年のシングル「夜明けまで」の購入特典ディスクに弾き語りバージョンの「猫町オーケストラ」が収録されたこともあるが、GTHで演奏したことはなく、バンドアレンジでの録音もコンピレーションアルバム『猫と音楽の休日』のために初めてのトライとなった。

萩原朔太郎の「猫町」に触発された歌詞は《猫》そのものの視線から描かれたものなので《猫》という単語自体が登場しない。「風邪をひいてた痩せっぽちの彼は」という歌詞は、はじめ「痩せっぽちのクロは」だったのを書きかえた。「猫がこんな哲学的な物思いをしているだろうか」と疑問を呈した友だちがいたけれど、意外と猫はいろんなことを考えているのだと思うのです、あの小さな頭と大きな瞳で。

今年2月オーディオインターフェイスを新調した自宅スタジオでの最初の録音。ギターやマンドリン、ベース、ドラムプログラミングなどの楽器を僕が多重録音し、ピアノとオルガンをsugarbeansくんに託した。コンピCDで共同作業をしたシンガーソングライターのkainatsuちゃんがコーラスを快く引き受けてくれた。このとき彼女はご懐妊中で、その歌声には母性のようなものを確かに感じる。サビ前のハンドクラップ2発はkainatsuちゃんと録音した「てまひま〜うたた猫のテーマ〜」で録音した手拍子をサンプリングした。エンジニア手塚さんには参考音源としてR.E.M.の「Electrolite」を聴いてもらった(バンジョーの印象をマンドリンで出したかった)。コンピレーションCDではオープニングトラックに選ばれたが、今回『the loved one』のクロージングを飾るべく、アルバム用にリミックス。見事なエピローグになりました。

すべての楽曲について解説しました。次回からは『the loved one』に寄せられたコメントを紹介したいと思います。



yamada_the loved one_S 山田稔明/the loved one
 2015年6月19日発売(全国流通開始7月7日)
 GTHC-0007 定価2000円(税別)

 1.my favorite things
 2.太陽と満月
 3.ポチの子守唄
 4.些細なことのように
 5.small good things
 6.猫町オーケストラ(album mix)

 『the loved one』プレオーダーはこちらから。

Posted by monolog at 18:02│Comments(0)TrackBack(0)

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