去年の6月19日は長い長い一日だった。夜明け前、目を離した隙に(寝落ちしたんだな、僕が)具合が悪くて動けないはずのポチの姿がどこにも見えなくなって、家じゅうを探して結局どこから入ったのか寝室のベッドのマットレスの下でぐったりしているポチを見て、病院に入院させて少しでも楽になるような積極的な治療をしてもらおうと決めた。朝いちで病院に連れていって、そのまま深大寺に行って病気が治るように祈祷してもらった。ちょうど桜桃忌だったので帰る途中で禅林寺に寄って太宰のお墓に御参りもした。15時半くらいに病院から電話がかかってきて駆けつけるとポチは心臓マッサージを受けていて16時過ぎには冷たくなったポチを連れ帰って僕は家のリビングで座り込んでいました。
「そんな保冷剤なんかじゃだめだよ」と友だちがドライアイスのブロックをいくつも買ってきてくれて、「なんも食べてないでしょ」とイトケンさんがお寿司を買ってきてくれて(ポチが好きなカツオも)、ヒックスヴィル中森さんが花を持ってきてくれて、お店が終わった長男堂店主がおむすびを作ってきてくれて、立派なお通夜でした。僕は寝不足のままグビグビとビールを飲んでしまっていたのでうつらうつらと居眠りしたり意味不明なことを言ったりしてみんなに笑われて、ああ、こういう感じってお通夜によくあるなあ、親戚同士の喧嘩や小競り合いが起こったりもするんだよなあなどとぼんやり1年前の夜に考えたのでした(このときご近所の近藤研二さんと知り合っていないということが今となっては不思議ですね)。
1年後の今日は雨の1周忌、お昼から夜までリハーサルでした。ちょうどポチが旅立った時間の頃から「些細なことのように」「ポチの子守唄」「日向の猫」と近藤さんも含む8人での演奏で、僕は結構感極まった感じになってしまって、みんなにそれがばれないようにするのに必死でした。ポチの一周忌に一番近い土曜日を選んでライブを決めたのは去年の12月、僕の誕生日でした。たくさんの仲間の協力でできあがった、愛猫ポチに捧げた『the loved one』を明日から皆さんに届けられることがとても嬉しいです。家に帰るとやんちゃ盛りのポチ実が駆けまわって夜の運動会を。今日は今日でいい日でした。明日は今日よりもっと良い日になると思います。




