ラジオでのオンエア以外では初めて、新作からの楽曲を公開しました。
高野寛さんのギターをフィーチャーした「太陽と満月」です。ドラムは13年ぶりのソロアルバムも完成したitokenさんが自身のイトケンスタジオで録音、オルガンは佐々木真里さんのスタジオmでそれぞれ録音してメールでやりとり。海老沼崇史くんは僕のポチスタジオでベースを録音し、僕はアコギとエレキでリズムを刻みました。エンジニアの手塚雅夫さんはジャック・ジョンソンの1st『Brushfire Fairytales』を意識したのではないか?といいうのが僕の憶測。2013年に初演した歌がいくつものステージを経てついに完成しました。
高野さんは春のある日に僕の家にやってきて、魔法のように手際よく数トラックの分散和音の爪弾きを1964年製のFenderストラトキャスターで、そして「これ弾いてみていい?」と僕の1965年製Harmonyのギターを抱えてカラッと乾いたソロを重ねてくれました。50年前に作られたギターと小さくて高性能な最新機材での自宅録音、とても2015年的な感じがしました。キラキラした彩りを加筆してくださった高野さんに大きな感謝を。
高野さんから届いたコメントを掲載します。
『the loved one』によせて
アーティストの心には、だいたいたくさんの穴があいているものだ。
その穴を埋めるために、彼らは詞を書いたり絵を描いたり曲を作ったり歌ったりするのだ。
愛猫を失ったアーティストの心に空いた穴はどれほど大きかったことだろう。
でも、その穴が大きければ大きいほど、それを埋めるための力は輝きを増してゆく。
一聴するとやわらかなこの六編の歌に刻み込まれた確かな想いは、
きっと僕やあなたの心を震わせるのだろう。
高野寛