
ようやく小説「猫と五つ目の季節」の校正が終わり(果てのない作業でした)来週には印刷が始まります。6月から3ヶ月、週のうち5日間(土日祝日以外)の午前中に原稿用紙4枚ずつ書くというなかなかタフな作業でしたが(8月は朝から夕方までかかることもあった)実際に本になると思うとわくわくします。栞の色をポチの毛色に近づけたり、装丁をあれこれ試したり、カバーの写真を考えたりするのはCDを作るときの諸作業にとてもよく似ていて、写真家の斎門富士男さんと15年ぶりに連絡をとったりかつてお世話になったレコード会社関係者に相談したりして、まさに自分のキャリアを遡るような初秋でした。猫のことを書くと自分の半生を振り返ることになるとは。
先日玄関先でクルマの掃除をしていたら、犬を散歩中の上品な感じのおばさまがこちらを見てニコニコ笑っている。僕は軽く会釈をして「こんにちは」と声をかけると「今日は猫ちゃんいらっしゃらないのね?」とうちの二階の窓を指差して言うのです。ポチ実が通りに面した二階の窓からずっと外を眺めているのは僕も知っていたんだけど、そうやっていつもの散歩道で「あそこの窓には猫ちゃんがいる」と認識して楽しみにしている人がいることを、なんだか良いな、と思った。「今は一階のリビングで遊んでますよ」と言うと嬉しそうに笑っておばさまは手を振って去っていった。また今日も犬を連れたおばさまはうちの前を通るときに二階の窓に猫の姿を探すのだろうな。「ほら、猫ちゃんいたわよ」とワンちゃんに声をかけたりしながら。いよいよ夜は寒くなって、ポチ実は最近以前より少し甘えっぽくなってきた。今年の冬は布団に入ってきてくれるだろうか。
来週10月1日からいよいよ「吉祥寺猫まつり2015」が始まります。僕はコピス吉祥寺5階ギャラリーでの「kissa kichijoji 猫のいる暮らし展」、近藤研二さんと大塚いちおさん、そしてkissaporukka(イナキヨシコ+石坂しづか+木下綾乃)のお三方とで空間演出します。10月11日成蹊大学で行われる「吉祥寺ニャンポジウム」というのもとても意義のあるイベントになりそうです。キチムでの小説「猫と五つ目の季節」発売記念ライブももはやこの猫まつりの一環と言えるかもしれません。把握できないくらいたくさんの催し事があります。詳しくは吉祥寺猫まつりHPをご覧ください。札幌から帰ってきてからが展示の作業の正念場です…。