2015年10月29日

小説「猫と五つ目の季節」のこと12|本の厚さと重み

東京を皮切りにして、先週末の福岡と佐賀から小説「猫と五つ目の季節」を持っての最終目的地の見えない全国ツアーが始まった。CDを紙ジャケット仕様にした『新しい青の時代』の頃からCDの運搬がとても楽になった。プラスティックケースが割れる心配をしなくていいし、なにより薄くなったからだ。そして今回小説を物販として販売するために持ち運ぶときに、その存在感の手応えをあらためて感じている…。重くてかさばるのだ。たった10冊でも片手で持てないほど、これは愛しい面倒臭さだ。九州に連れていった本はほとんどが誰かのもとへ旅立ったので帰りはとても身軽だった。そしてまた僕は重たい荷物を抱えて新しい旅に出るのです。言葉は「乗り物」のようだ、と最近感じる。うまく乗りこなせば自分の思いや考えを誰かの知覚や意識に直接運ぶことができる。それは簡単単純にあっという間だったり、回り道を繰り返して時間がかかったりするけれども。

今日も友人知人から届いた感想コメントをいくつか紹介します。




ねこと暮らしている人は
(暮らしたことのある人も)
その時間がどれほどすてきなものか知っている。
ねこは、自由で、あそびずきで
気持ちのいい場所を見つけられる。
ごはんが気にいらないとプイと横をむき
すきなものは「くれくれ」と鳴く。
一日の大半をねてすごし
夜中に急に走りだす。
「いいね・・・」と声をかけると
しっぽをひょいとふり返事をする。

あきらめがわるく
でも、あるときから
すっとわすれる術ももっている。
旅から帰ってくると
「どこに行っていたの」と出むかえてくれ、
ひざにのり
ごろごろとノドを鳴らし
さむい夜はいっしょにねむる。
ときにわらい、
ときどき、おこり。
「ねこだから仕方ない」と思い。

『猫と五つ目の季節』は
山田稔明さんとねことの物語。
きらきらとしたひかりのような一瞬を集めたお話。
読みながら、黒ねこと重ね合わせ
うなずいたり、せつなくなったり。

ねこと暮らす人
ねこを愛する人へ。
ねこと暮らしたい人へ。
すこし、泣く・・・かもしれません。

広瀬裕子さん(作家)




小説を読むことの醍醐味は、誰かの人生の一部分を追体験できることだと思うんだけど、
山田さんのリズム感あふれる文章に引き込まれるうちに、猫を飼ったことがない僕に、
ポチと出会って看取るまでの日々を想像の中で体験させてもらいました。

ワクワクしながらキャリーバッグや猫のトイレを買いに行ったり、
不安な気持ちで病院に連れて行ったり、
そんなシーンを読むうちに、山田さんがまるで親ばかのように
猫について語っていた理由が身に沁みて分かりました。
読み終わる頃には、今まで考えたこともなかった
自分と猫との暮らしを想像しているのに気づいてちょっとびっくり。
だけど、こんな理想的な出会いを知ってしまった後に、
僕にも素敵な出会いが巡ってくるのか、ちょっと自信がないですが・・・・・・。

猫との暮らしのなかで、ひとりのミュージシャンが、自分の表現のあり方を
少しずつ確立していく姿もまたこの小説の魅力のひとつ。
重たくなりがちなテーマなのに、山田さんの音楽を聴いた時のように、
心が温かくすがすがしい気持ちになったのは、
物語と読み手に対する山田さんの愛に満ちていたからでしょうか。

飯島淳彦さん(TRAVELER'S FACTORY)




山田稔明さんの「猫と五つ目の季節」読了。
映像も音も匂いも手触りも伝わってきて、
読み終わるまであっという間の時間でした。
山田さんとポチのひとつひとつに「あー、わかる」と共感したり
自分の体験と重ね合わせたりするんだけど、
そういった個人的なことを超えて
小さな生き物がこんなにも誰かに大切にされている
という事実がとてつもなく幸せに感じられて、
途中から泣けて泣けて止まらなくなりました。

それにしても山田さんだけにおこる奇跡の展開には
ちょっと嫉妬してしまいます(笑)猫の人は必読。

猫ラボさん(フェルト作家)


Posted by monolog at 12:28│Comments(0)TrackBack(0)

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