




週末、宮城県富谷町成田にあるNAKAO CAFEでのライブのこと。前日から雪の予報でてんやわんやしたが出発の朝には東京は雪降らず。仙台方面は雪積もって道が危険という報告を受けつつ、緊張しながら早めに出発。今回は近藤研二さんと初めての旅、新鮮。東北自動車道が通行止めになっていたので常磐自動車道での東北への旅路、これも初めての経験。道中、雪に乱されることはなかったけれど、福島に入って双葉町、浪江町、南相馬と走り、「現在の放射線量」という掲示と帰宅困難地域の風景を眺めながらいろんなことを考えさせられる往路でした。
仙台に到着、そこから富谷町まではゆるやかな山をのぼる道。新しい住宅街がどこか外国を思わせました。太陽が顔を出して雪も溶けていて、スタッドレスタイヤのおかげでスリルを味わうことなくNAKAOに到着。携帯した僕のフィンランド軍用の長靴の登場機会もナシ。初めて訪れたNAKAOは雑貨のお店もカフェも贅沢な空間、一気に気分が高揚。思えば昨年キチムでの小説発売記念のライブにご来場いただいたNAKAO店主から「うちのお店でもぜひライブを」という話から4ヶ月で実現したこの日のライブ。本当に出会いに恵まれているなあと感じます。会場セッティングとリハーサル、キャンドルの飾りも美しかった。


ライブは少しの緊張感とともにスタート。恐らく僕のことも近藤さんのことも知らずに「NAKAO CAFEでのライブだから」という理由でいらっしゃったお客さんも多かったと思います。『the loved one』と小説『猫と五つ目の季節』の朗読を中心にしたセットのなかで、今回近藤さんとやりたかった新しいレパートリーは、まず「クレールとノアール」、これは最近白猫と黒猫の歌のような気がして、猫好きのふたりで演奏するのにふさわしいと思った曲。歌詞のなかに「ベガとアルタイル」が出てくるのだけど、終演後のアンケートに「ベガルタ仙台」の“ベガルタ”が「ベガとアルタイル」に由来することを知る。仙台→七夕→ベガとアルタイル、ということか!もう一曲「glenville」を近藤さんと初めて演奏。今回が車での旅になることが決まって、車窓を風景が移動していくこの歌を歌ってみたかった。「予感」もなんだかいつもとは違う特別な響き。前述した常磐道での風景も相まって良い演奏ができた気がします(近藤さんはレアなボトルネック奏法で)。
近藤さんにお願いしてソロコーナーを特別に。ウクレレでの独奏が会場によく響いた。リクエストした「おじいさんの11ヶ月」も聴けて嬉しかった。近藤さん自身の歌で「猫のふみふみ」、超癒やしソング。近藤さんは歌もいいのだ。伊藤ゴローさんの『Cloud Happiness』のようなボーカルアルバムをいつか作って欲しい。会場には僕と近藤さんのインスタグラム、Eテレ「0655」「2355」もいつも楽しみにしているというお客さんも多かった。再びデュオ編成に戻って2355おやすみソングである「眠れねこねこ」を僕がボーカルで。「猫のふみふみ」やら「眠れねこねこ」やら、いい大人の男ふたりが、というあたりで会場はとてもリラックスした雰囲気に。



朗読に続いての「ポチの子守唄」「些細なことのように」ではすすり泣くような音が会場のあちこちから聞こえたけれど、僕は冷静に淡々と歌う。「日向の猫」「my favorite things」では皆さんのコーラスや手拍子に支えられてとても気持ちよく歌うことができました。アンコールで「あさってくらいの未来」、これは2013年当時ラジオ石巻でよくかけていただきリスナーの皆さんから反響の大きい歌だったそうです。最後は「ハミングバード」、素晴らしい時間でした。たくさんのお客さんとカフェカウンターのなかにずらりと並んだ従業員スタッフの皆さん、お世話になっている仙台のラジオディレクター氏、ラジオパーソナリティの方、心強いスタッフとNAKAO CAFEの空間に感謝。

終演後はたくさんのサインと握手と会話、ここへ来てよかったなあとしみじみ思いました。ライブ当日はバタバタしてしまったので、あらためて翌日再びNAKAO CAFEでゆっくりランチを食べて、買い物を楽しむことができてよかった。自分の住む街にこんなお店があったらいいな、と思うようなお店。またここに戻ってきたいと思いました。宮城仙台はデビュー以来ずっと僕をサポートしてくれている街、次回は2年半ぶりにならないようにします。
