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以下、いただいた感想を50音順に。
◎飯島淳彦さん(TRAVELER'S FACTORY)
小説を読むことの醍醐味は、誰かの人生の一部分を追体験できることだと思うんだけど、山田さんのリズム感あふれる文章に引き込まれるうちに、猫を飼ったことがない僕に、ポチと出会って看取るまでの日々を想像の中で体験させてもらいました。ワクワクしながらキャリーバッグや猫のトイレを買いに行ったり、不安な気持ちで病院に連れて行ったり、そんなシーンを読むうちに、山田さんがまるで親ばかのように猫について語っていた理由が身に沁みて分かりました。
読み終わる頃には、今まで考えたこともなかった自分と猫との暮らしを想像しているのに気づいてちょっとびっくり。だけど、こんな理想的な出会いを知ってしまった後に、僕にも素敵な出会いが巡ってくるのか、ちょっと自信がないですが・・・・・・。
猫との暮らしのなかで、ひとりのミュージシャンが、自分の表現のあり方を少しずつ確立していく姿もまたこの小説の魅力のひとつ。
重たくなりがちなテーマなのに、山田さんの音楽を聴いた時のように、心が温かくすがすがしい気持ちになったのは、物語と読み手に対する山田さんの愛に満ちていたからでしょうか。
◎五十嵐祐輔さん(fishing with john)
友人としてバンドのメンバーとして、近くで見て聞いて体験もした山田稔明とポチの愛すべき物語を「ああ、そうだったなあ」としみじみと思い返したり、「へえ、そうだったんだ」と知らなかった事実に驚いたりしながら夢中になって最後まで読みました。自分も猫を飼うようになった今、彼とポチの寄り添いながらの暮らしにはいっそう深く共感を覚え、別れの場面ではもし自分の猫がそうなったらと想像も重なり、何度も何度も涙で文字が滲みました。そして物語の最後に訪れた奇跡に改めて拍手を送りたくなりました。愛するものと暮らすことの喜びが丁寧に紡がれた言葉の端々から伝わり、猫を飼っている人は勿論、飼っていない人も読後に豊かであたたかな気持ちになれると思います。彼の自伝的青春小説としても、猫を飼うに当たっての指南書としても読める1冊です。個人的には厳しくも優しい猫先輩が与えてくれた教科書だと思い、何度となく読み返そうと思っています。傍に眠る猫の姿を眺めながら。
◎イシカワアユミさん(鍵盤奏者)
季節をみつめる猫、猫をみつめながらその先の季節を感じる主人公のまなざしの優しさ。きらきらとした葉山の海の色、日向でふっくらとした猫のにおい、ちいさな歌声。そんな時間の移ろいがなんとも静かにあたたかで儚くて、物語の先を知りたいけれど、終わって欲しくないような、そんな気持ちで読ませていただきました。どうしたってどんな日もすべて愛おしく。また猫と暮らしたいな。
◎イナキヨシコさん(イラストレーター)
<猫と暮らす人生>を選んでよかった、と幸せな気持ちになりました。もちろん、いずれ訪れる別れを思うとつらくて考えたくはないけれど、それに勝る幸せとご縁をもたらしてくれると、ポチやポチ実に教えてもらいました。
文章から伝わってくる季節の匂いや空の色からは、めぐる生への期待も感じて。そして今を大切にしよう!と愛猫ミルーをなでまくり、嫌がられました…。強く美しい生き物、猫に感謝。
◎カフェ長男堂 店主
僕とポチが登場すると聞いていたので、てっきりエッセイ本なのかと思っていましたら、紛うことなく「小説」でありました。ポチと僕。出会いはよそよそしいものの、ある時からイチャコラを見せつけられ、なんとも見ている(読んでいる)こちらが恥ずかしいカップルの物語…と言う目線で読んだならば、途中登場する定食屋の女がっ!!クソっ!となるのが少女漫画の定説ですが、そこはさすがの山田さん。登場人物すべてが優しく悪い人は誰もいません。
物語の終盤は電車やカフェなど人前で読んではなりませぬ!
そして最後に一言。半分くらい現実が混じっておりますが、これはフィクションの小説であります。どこかで聞いたことがありそうな定食屋が出てきますけれど、物語の中の話。架空ですから!現実とごちゃ混ぜになさらぬよう願います(笑)。
◎岸本孝一さん(チャッツワース店主)
山田稔明「猫と五つ目の季節」には穏やかな日々の生活に主人公と猫のリアルな距離感の描写とファンタジックな巡り合わせが描かれてゆく。上手く絞られた登場キャストにより、主人公と猫の生活の心理描写に自然と深く引き込まれます。これは映画化が見てみたいな。誰がポチとポチ実を演じる!?
◎木下綾乃さん(イラストレーター)
猫たちへの愛情、運命的なつながりがすごいなと思いました。葬儀を終えて号泣するシーンでは、私も一緒に泣いてしまいました。愛猫ポチを見て曲や詩が生まれる場面は、ミュージシャンならではの描写が素晴らしかったです。随所に書かれている猫に関する豆知識は、長年猫と一緒に暮らしている私も知らないことがたくさんあって、そこも面白く役に立ちました。
◎近藤研二さん(音楽家)
自分も登場人物のモデルになっていると聞いていたのでドキドキしながら読んだ。山田くんと知り合ってまだ一年の僕は実際にはポチに会ったことがないので、事実ポチの世話をしていたイトケンとミックスして「エンケン」という登場人物が生まれたのだろうか。コンケンとイトケンで「エンケン」かー。
さておき、“事実は小説よりも奇なり”というが、僕が知っているここ一年のことは、ほぼ脚色なしで描かれている。それでいてこんなにドラマチックな後半の展開があるのだから、本当にすごい猫体験をしたものだなあと思う。序盤のポチが行方不明になるシーンで、些細なことで何かを失うかもしれないという体験にとても感じ入って心を揺さぶられてしまったので、そのワクチンのおかげで後半にかけての重い展開も冷静に読むことができた。
それでもやはり、自分も昨年愛猫を亡くしたばかりなので、なかなかズシンとくるものがあった。だけれど、山田くんの天性の前向きさ、飄々とした慈悲深さと言うのか、そんな「気」がどこの行間にも感じられて、彼の歌とまったく同じように心地よい読後感に包まれた。『the loved one』 のまさに小説版だ。ポチとポチ実だけが本名の物語。こんな作品をお兄ちゃんに作ってもらえるなんて。同じ愛猫家として少しジェラシーを感じる。ここは是が非でも「ミーコ」をマルオという本名にして僕も何かを残したいものだ。その時はポチは「ハチ」、ポチ実は「チミーコ」という名前になるので、よろしくね。
◎坂本千明さん(イラストレーター)
新幹線で一気に読ませて頂きました。あいにく通路側の席だったため、途中何度も「あ、ここまでにしておこう。さもないとボロボロの顔になる」と思いながら、読み進める事を止められませんでした。まず山田さん、よくぞこの物語を書き上げられましたね。どんなにか大変な作業だったのではないかと思います。そこに心から尊敬します。
限りなくノンフィクション(ですよね?)のこの物語、冒頭からスッと引き込まれ、いきなり第1章で胸がつまってしまい、自分でもよくわからない涙が出て周囲にバレないようにするのが大変でした。(途中で諦めて、もういいやと開き直りましたが)ポチとの出会いの場面、遊佐さんからも伺って自分なりに想像していた葉山の情景が山田さんの言葉によって鮮やかに浮かび上がり、小説の中の言葉を借りれば「猫と暮らす人生」の始まりであり「猫に選ばれた」瞬間でもある訳ですが、とても幸福で眩しすぎる場面でした。それはとてつもなく甘美だけれど、反面必ずやってくる別れをほのかに予感させされ、たまらない気持ちになったのかもしれないのですが、むしろポチが亡くなった場面よりも胸を突かれてしまったのです。ごめんなさい。
そして猫と暮らすことは、その出会いが全てなんだとすら思えました。人間に比べたらとても短い猫の生涯に参加させてもらうという事がいかに幸運な事だろうかとも。
ポチ実の登場はブログでも拝見していましたが、やはりドキドキしてしまいますね。改めて猫の摩訶不思議さに魅了され、神様アンタやるじゃん!とハイタッチしたくなる清々しい気持ちで読み終えました。
読まれた方が自分の目の前の愛猫や、かつて共に暮らし、忘れられない猫の記憶をギュッと抱きしめずにはおれない作品だと思います。
◎佐々木綾さん(moln店主)
山田稔明さんの愛猫ポチの写真絵本「ひなたのねこ」の巡回展で、molnにポチの写真が並んだ時、誰もが目を細めながら、山田さんが撮る、なんでもない日々に生きるポチの写真を眺めていた。その時にはポチはもうこの世界にはいなくて、わたしは開店前の誰もいない店内で、スクリーンに次々と現れるポチの愛らしい姿に、涙が止まらなかった。ポチには天性の魅力があり、それは愛されて暮らし、より内側から輝いていた。
言葉を交わさなくとも、ふたりは何もかも分かり合える相棒であり、共同体。出会いから始まるふたりのストーリーは、お互いの可能性を広げる、欠くことのできないピースを持ちあった、運命の相手だったのですね。そして、運命の人は、けして愛する人を悲しませないよう、新しい季節を残して旅立つのだと、永久不変の愛を感じました。
いま、私たちもポチのくれた魔法のおかげで、ミルクと一緒に暮らしています!
◎佐々木真里さん(音楽家、鍵盤奏者)
読みながら、写真絵本「ひなたのねこ」のページもめくったりして、4章あたりからは「読み終わりたくないなあ」とも思ったり。
1996年に亡くなったうちの猫の写真も引っ張りだしてきて…。
ソロアルバム『新しい青の時代』作ってるとき「日向の猫」のアレンジを考えていたときや、その後ライブで実際演奏してるときに思い浮かべてた光景がここに書かれてる思いと一致していて、ひそかにうれしかったです。
山田くんの音楽を知らない人がたくさんこの小節を読んでくれたらいいなと思いました。そしたらきっとこれを書いた山田くんのことも山田くんの紡ぐ音楽も、ぜったいもっと「知りたい」って思うんじゃないかな。
◎佐藤満春さん(お笑いコンビ「どきどきキャンプ」、構成作家)
猫と暮らす人生と猫と暮らさない人生。
主人公は吸い寄せられるように猫と暮らす人生を選んだ。
思えば、人生の選択なんてこんなことなのかもしれない。
猫と暮らすその日々は恋愛そのものであり、それ以上であり、生命と生命の繋がりであった。
僕ならどうするかな?そんなことを考えながら読むと、嬉しくも楽しくもあるし、ちょっと怖くもあった。
新しい恋愛小説、おにいさんとかわいい猫との胸きゅんラブストーリーをどうぞ。
◎宍戸留美さん(歌手、声優)
山田稔明さんの小説『猫と五つ目の季節』を読み終えて‥‥。
こんなに小さな命を愛してくれる人がいるんだと、感動しています。
それと同時に音楽家としての山田さんしか知らなかった私は、
こんなにも『猫の人』なのかと驚いてます。笑。
ポチちゃんを通して沢山の人とも交流して、心動かされ、学び、
音楽に支えられ、愛とは何かをこの本で教えてくれます。
本になってもっともっと沢山の人の心を動かすであろうポチちゃん、偉大!
最後は絶対に泣くだろうなと思って読むのがイヤだったんですが、
読まずにはいれない、音楽を奏でるかのようなリズムと空気感、
優しさに包まれるような幸せな時間でした。
本を閉じて、山田さんのInstagramをのぞくと、
そこには小説の中の世界が日常としてあり『はっ!』と声が出ました。
改めて、人も動物も生かされているもの同士、寄り添い愛しあっていたいと強く思います。
◎清水浩司さん(映画「夫婦フーフー日記」原作者)
書かざるをえない小説を書かれた、という感じがしました。
言い方を変えれば、ポチが書かせてくれた小説。
『the loves one』と『猫と五つ目の季節』はきっとセットで、
山田くんにとって人生を振り返らせるいい機会だったんでしょう。
僕はこれ小説というより、長いエッセイのように読みました。
ほとんどフィクションを感じない。
山田稔明という人物の十数年を重ねて読みました。
音楽と猫、それにまつわる友人たち。
ここには山田稔明という人のいつわりない立ち姿があらわれている気がします。
◎庄野雄治さん(アアルトコーヒー)
ものごころをついたときから家に犬がいた。秋田犬、ハスキー、雑種、大学で実家を出るまで何匹の犬と過ごしたのだろう。覚えていないなんてなんて薄情なのでしょう。結婚して娘が出来て彼女が4歳(くらい)のときに犬が飼いたいと言い出してミニチュアダックスフンドがやってきた。そして今も一緒にいる。
犬は人につく。言葉の通り妻についている。私にはそっけない。散歩にいきたいときだけ近寄ってくる。あとは大体眠っている。
猫と暮らしたことがない。いや、よく考えてみれば、猫に触ったこともない。猫が生活の中にいなかったのだ。
この本を読むと猫と暮らす人の気持がよくわかる。すべては猫を中心に回っているんだ。世界中の人が猫と暮らせば争いは減るんじゃないかあとさえ思った。だってやることがたくさんあるんだもの。お世話はもちろん、写真もいっぱいとらなくちゃならないし。
「人間には、猫と暮らす人生と猫と暮らさない人生、その二つしかない」ってセリフがあった。犬と暮らす人生もあるよと小さな声を心の中だけで漏らした。そう、普段はちっとも犬のことなんて見向きもしなかったのだけれど、そんな気持になり、いつもより遠くまで散歩に行き、嫌な顔をされるくらい体をなでるようになった。
自分の生活にかかわるものに、もっと愛情を持ってかかわらなければ、そんな風に思って本を閉じると、心にスーッとやわらかな風が吹いた。
◎杉真理さん(シンガーソングライター)
愛する者への 世界一長いラブレター。
山田君にニャオキ賞をあげたいくらい素晴らしい。
◎高橋久美子さん(作家、作詞家、ex.チャットモンチー)
小説読ませてもらいました。
もう、泣きましたよ。
山田さんにしか書けない物語ですね。
ポチが亡くなったときの壮絶な悲しみをこれを読むまで
私は想像できておらず、申し訳ない気持ちになりました。
「猫を飼うものと、飼わないもの」という言葉がずっしりときました。
山田さんにとって、兄妹であり子どものような存在だったのですね。
一人の家族なんだなあって、いまさら!と思われるかもしれないけれど
猫を飼ったことのない私にも一人と一人が愛情で繋がっているんだっていう
当たり前のことを教えてくれたように思います。
とても優しくて、力強い物語でした。
◎高橋徹也さん(音楽家)
餅は餅屋、なんてことわざもあるように、音楽家は音楽、小説家は小説を極めるのが本分だと、個人的にはそう思っている。なのでミュージシャンの書いた小説なんて言われれば、もうそれだけでハードルを上げて読んでしまう自分がいるのも本当のところ。
大切な友人であり、尊敬するシンガーソングライターでもある山田稔明君から「タカテツさん、実は俺、今、小説書いてるんだよね」と話を聞いたのはちょうど半年くらい前のことだったか。もうすでに仕上げの段階に来ているというその小説は『猫と五つ目の季節』と名付けられ、静かに完成の時を待っていた。
結論から言えばこの小説はあらゆる意味で嬉しい「例外」となった作品だ。ミュージシャンが書く小説なんて、という食わず嫌い的なイメージを一掃してくれる、なんとも穏やかで素敵な本だった。山田君と親しくなってまだ数年。知らなかったポチさんとの出会いや、ポチさんがもたらした幸福な日常の風景がとても微笑ましく儚く感じられた。リリースされた順番こそ前後しているが、山田君の最新アルバム『the loved one』こそ、この『猫と五つ目の季節』のサウンドトラックと言えるのではないだろうか。愛するものに捧げた音楽と小説。そう思わずにはいられない。
最後に、山田君。俺はこの先も「猫と暮らさない人生」を過ごすよ。だってこれで猫や動物と暮らしてしまったら、いよいよ本当に結婚できなくなりそうだからね(笑) 『猫と五つ目の季節』出版、おめでとう!
◎高山武樹さん(ラジオディレクター)
本を読むこと自体は嫌いではないのですが、読むのはかなり遅い方です。そんな僕が、一日で読むことがでる小説でした。猫の話だったから・・・ 山田稔明というアーティストの紆余曲折が書かれていたから・・・ 理由は一つではないのでしょうが、普通なら数日かけて読むところを一日で読破してしまったのには、僕を夢中にさせる何かがあったのだと思います。
◎塚本直毅さん(お笑いコンビ「ラブレターズ」)
すごいラブストーリーを読ませてもらいました。「これでもか」というほどのラブストーリー。人を想う気持ちよりもピュアで、ストレートで汚れも誤魔化しもない、愛情だけが詰まった物語。山田さんとポチの日々を覗き見させてもらい、芳恵さんの言葉をきっかけに共に泣けて幸せでした。自分は優しく染み込んでくるような山田さん楽曲の一ファンなんですが、読んで納得です。「こんな人ならそりゃそうだ!」と、少し笑ってしまいました。すべてはポチに感謝です。
◎西村麻衣子さん(むさしの地域猫の会)
猫と暮らしたことのある人なら泣かずにはいられない。わたしは途中でちゃんと読むことができなくなりました。全部本当にあったことだから。でもそのあとには奇跡のような出会いが待っていました。まるで映画のようだけど、本当のお話。猫を愛し、関わる人たちが山田さんの音楽で泣けてくるのはなぜなのかこの本を読むとよくわかります。自分の「猫愛」はだれにも負けないという自信があったけど、ポチへの愛には及ばないかもしれない・・・少しだけくやしいです。
◎猫ラボさん(フェルト作家)
映像も音も匂いも手触りも伝わってきて、 読み終わるまであっという間の時間でした。 山田さんとポチのひとつひとつに「あー、わかる」と共感したり自分の体験と重ね合わせたりするんだけど、 そういった個人的なことを超えて小さな生き物がこんなにも誰かに大切にされているという事実がとてつもなく幸せに感じられて、途中から泣けて泣けて止まらなくなりました。それにしても山田さんだけにおこる奇跡の展開にはちょっと嫉妬してしまいます(笑)猫の人は必読。
◎はしもとみおさん
不覚にも、新幹線の中で涙が止まらなくなりました。
私は、地方出張の際に、土地にちなんだ本を読むのが自分の中の楽しみになっていて、九州の猫を取材に行く際の新幹線のお供に、以前「実家が佐賀で〜」とお聞きしていた山田さんの本をお供に連れて行くことにしました。
小説なのに、ドキュメンタリーのように進むその内容に、山田さんがこれまで音楽とどのように向き合って、音楽と暮らして、そしてポチとの出会いから、ポチと音楽との暮らし、その全てが山田さんのリアルな足跡で、まるで山田さんの唄のように、日常のささやかな幸せや喜び、淋しさをシンプルな言葉で書きとめた日記のようなものでした。
ポチと出会ったのあたりを読んでいたのがちょうど大阪くらいで、その後岡山、広島と物語は進み、山口に着く頃にはページをめくるたびに涙が出ました。
どんな神様にでも力を貸してほしいくらいに、どうしようもないポチとの別れ、私も猫、犬と生き物と暮らしてきたので、感情移入せずにはいられませんでした。
そして、九州へ新幹線は走り、奇跡へと物語は進みます。
それは、とてもあたたかな、奇跡みたいな命の物語そのものでした。
山田さんは歌で、詩で、そのちいさくておおきいたいせつなあたたかい日常を、これからも唄っていくのだなと、私も彫刻でそんなことの端っこのほうでも、つくっていけたらいいなと思いながら、悲しいだけではない涙を拭いて、私は新幹線を降り、すこし深い呼吸をして、島に住む猫たちに会いに行ったのでした。
◎長谷川ちえさん(エッセイスト、in-kyo店主)
一気に読みましたが、いやぁ、愛が溢れるいい本ですね。読みながらバックでは山田さんの歌がずっと聴こえているようでした。私が知っている猫が大好きな山田さんのお話なんだけど、別の人の話のような不思議な感覚。大切な誰かを思うような恋愛小説にも置き換えられるなと。映画を観てるようでもあり、やさしい気持ちにさせてもらいました。
◎浜島直子さん
著者の人柄が感じられるような、穏やかでひねくれていない素直な文章が読んでいて心地よく、すいすいと心に入っていきました。
猫との生活という淡々としがちな内容ですが、だからこそ共感しやすかったり自分と重ねやすかったりするのかなと思いました。逃げるところや病気で苦しむところは、ついつい我が家のピピちゃん(雄のシーズーです)と重ねてしまって、読んでいて胸がつぶれそうでした。
それにしても、不思議なことってあるもんですねぇ! 最後は読んでいて救われたような気持ちになりました。
私は猫アレルギーなのです、筆者が羨ましい!(笑) 読んでいて猫を飼いたくなったのは私だけではないはずです。
◎原亜由美さん(写真の町シバタ)
山田さんとは同世代、地方出身で、表現側と裏方の違いこそあれ、同じ業界で同じ時期を過ごしていたため、さまざまなことが他人事とは思えず、自分のことのように読みました。共通点は数え上げればキリがないです。ポっちゃんの最期は涙が出ました。一方、山田さんが書かずにおれなかった気持ちもよくわかります。
今、わたしは写真の町シバタという活動をしていて、今年は、さながら個人プロジェクトのようになっているのですが、日常の記憶と場所を結ぶこと、を目的に、自分はそのまちの記憶の司書のような役割をイメージしています。日常の描写の記録は少なく、生活者の大半は「言葉の記録を持たない」人たちだと思っています。写真や音楽とは、そういう媒介となり、古くは民話や民謡がその役割を果たしてきたのかもしれません。山田さんも言葉の人で、わたしは自分を司書と言いましたが、山田さんは語り部であり、書き手であり、そういう役割を持っておられるのだな、と感じてこの小説を読みました。
どうぶつも言葉を持たないけれど、表現豊かな生活者であり、学ぶことは多いです。
◎広瀬裕子さん(作家)
ねこと暮らしている人は
(暮らしたことのある人も)
その時間がどれほどすてきなものか知っている。
ねこは、自由で、あそびずきで
気持ちのいい場所を見つけられる。
ごはんが気にいらないとプイと横をむき
すきなものは「くれくれ」と鳴く。
一日の大半をねてすごし
夜中に急に走りだす。
「いいね・・・」と声をかけると
しっぽをひょいとふり返事をする。
あきらめがわるく
でも、あるときから
すっとわすれる術ももっている。
旅から帰ってくると
「どこに行っていたの」と出むかえてくれ、
ひざにのり
ごろごろとノドを鳴らし
さむい夜はいっしょにねむる。
ときにわらい、
ときどき、おこり。
「ねこだから仕方ない」と思い。
『猫と五つ目の季節』は
山田稔明さんとねことの物語。
きらきらとしたひかりのような一瞬を集めたお話。
読みながら、黒ねこと重ね合わせ
うなずいたり、せつなくなったり。
ねこと暮らす人
ねこを愛する人へ。
ねこと暮らしたい人へ。
すこし、泣く・・・かもしれません。
◎宮川 敦さん(NAOT/風の栖)
きらめくフィルムの世界のように、その情景が目に浮かんでは消えました。
そして、不覚にも泣いてしまいました……。
少しずつ変わっていく毎日やその中の悲しみや喪失感でさえ、すべて愛おしく感じました。
だから喜びってあるのでしょうか?
だから希望の季節がやってくるのでしょうか?
◎遊佐一弥さん(cafe+gallery 芝生 店主)
ある程度は想像していたものの、こんなにずーんと来るとは心の準備もなくうかつでした。ポチとポチ実と、山田さんの暮らしを一緒に過ごしてきたような錯覚にもなり、自分が猫と暮らしていた短い一時期の記憶とも重なって、幸せな記憶とともに、息苦しかった記憶も蘇ってきます。それでも変な言い方ですが、山田さんがこの本を書いてくれて「ありがとう」と言いたい気持ちです。今は「猫のいない暮らし」の日々ですが、山田さん含め友人知人たちの猫の愛されっぷりのおかげで、なかなかな擬似猫ライフを過ごしています。
◎吉野友加さん(tico moon)
山田さんの小説を読む。山田さんから生まれた言葉を、山田さんの声で脳内再生しながら。それは山田さんの音楽を聴くように、山田さんとお話しをするように、軽やかな風を感じる時間でした。音に乗った言葉も、紙に載った言葉も、真っ直ぐな山田さんから溢れ出す言葉は、変わることなく真っ直ぐに響いてきます。アレルギーがあり猫を飼わないタイプの私は、猫を飼う人たちの繋がりや、猫が傍にいる人生を羨ましく思いながら、少しだけ身近に感じることが出来た作品でした。
◎和田靜香さん(音楽ライター)
これは家族の物語。家族の在り方は今、多様化している。昔のようにお父さんとお母さんがいて、子どもが2人、おじいちゃん、おばあちゃん、みたいな家は減っている。私の知り合いの男性は男性のパートナーと暮らし、代理母が産んだ赤ちゃんを、お母さんも手伝って3人で育てている。ものすごく幸せそうで自慢げな写真がアメリカから送られてきた。家族って、当人たちが「自分たちは家族」と思ったら家族なんだ。家族は自分たちで作っていくもの。そして社会はそれを支援すべきだ。
山田稔明さんの「猫と五つ目の季節」は山田さんと猫のポチがいかに家族になっていったか、それを描いている。ポチは言葉が話せないから山田さんはポチのことを分かろうと懸命に努力する。ポチは最初戸惑いながらも、徹底的に甘える。これ以上深くなることがあろうかという家族愛。と同時に多くの芸術家に「ミューズ」がいるように、ポチは山田さんにとってのミューズでもあり、作品を生み出す源でもある。
こんなに素晴らしい家族に巡り合え、絆を深め、共に過ごせた山田さんとポチがうらやましい。絶対的な信頼と愛。何人もそこに入り込めない。でも同時に、周りにふたりの絆は温かく広がって行きもする。多くの仲間を呼ぶ。
素晴らしく、理想的な家族の物語。
優しくて、しかし、やがて悲しく、そして、驚きがある。
猫が好きなに人もそうでない人にも。どんなに時代が移ろうと。普遍的な家族の物語がここにある。