2016年04月12日

はしもとみお展「机の上の猫と犬」ワークショップ+LIVE【ライブ後記】



先週末土曜日のこと、等々力 巣巣にて木彫刻家はしもとみおさんの展示「机の上の猫と犬」期間中のイベントとしてコラボレーションライブが開催された。僕は午後からのワークショップにも参加するために早めに巣巣へ。店内に並べられた彫刻の動物たちのいきいきとした様子、何度見ても何を見てもみおさんの手がけた彫刻には溜息がでる。ワークショップは20人弱の参加者、はしもとさんと本多絵美子さんが手をとって教えてくれるが、のこぎりを使ったり彫刻刀で削ったりかなりの重労働だ。2時間かけて座るポチのブローチができあがった。感動体験。去年は僕は見るだけだった。友人のキョウコさんがみおさんのWS参加を熱望し巣巣に連れてきたのだ。今年は僕も削りましたよ。



イトケンさんも到着しバタバタとライブの準備。イトケンさんはエレクトロなデバイスを使ったソロセット、僕は猫の出てくる歌のみで構成するセットリスト。みおさんと本多さんの木を削る音をサンプリングしてその場でループさせたり増幅させたりするリハーサルの様子を見ていたら「夜の科学」という曲を4人で合奏したくなって急遽セットリストに。みおさんが彫った猫たちをステージにずらりと並べて。みおさんに2014年に彫っていただいたポチも一緒。開場すると満員御礼、たくさんのお客さんが観にきてくれました。

イトケンさんのソロセット、みおさん曰く「UFO呼びましたね、ここに」というほどにスペーシーでヘンテコな異空間を創りだしていました。イトケンソロの音は、しかし、とてもあたたかいのです。イトケンさんのためにみおさんが作った通い猫ドラの木彫りもステージに座っていました。みおさんと本多さんが加わっての“合奏”も未知の音体験。とても面白かった。バトンタッチして僕の出番。最初に歌った「california」という曲は2003年『omni』に収められたハイパーアクティブな曲だが弾き語りで小さなフォークソングに変身。「カリフォーニャー、猫が日向を探して鳴く」というダジャレからできた歌だが、僕はこの歌の歌詞を読むと羨望と諦観のコントラストにしみじみ感じ入ってしまう(自分で書いたのに)。

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前日に近藤研二さんが鎌倉molnで僕の「日向の猫」をカバーしたという情報を得て、僕もお返しに近藤さんの「眠れねこねこ」を初めて一人で演奏。「ポチの子守唄」「日向の猫」そして「きみは三毛の子」と続く。イトケンさんを迎えての「太陽と満月」はリズムループを鳴らしてイトケンさんがシンセベースという、恐らくこの日限りの即興セッション。「my favorite things」はいつ歌っても気分がいい曲になった。

はしもとみお、本多絵美子両氏を迎えてのセッション「夜の科学」は恐らく10分以上に及ぶ長い演奏だった。もともとお客さんを眠らせるために2000年にイトケンさんと二人で構築した曲を16年経って演奏している、というノスタルジーをみおさんと本多さんの彫刻音がメタルパーカッションのごとく削ぎ落としていく。この日この時間、このメンバーでしか演奏できなかった演奏、巣巣にいた皆さんしか聴くことのできなかった音楽でした。またやりましょうね。

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・・・そして翌日の展示最終日にも僕は巣巣へ。この日は近藤研二さんと一緒にワークショップに参加するため。近藤さんが手を怪我しないかヒヤヒヤしていたのだけど、まさかの自分が前日に負傷するというアクシデント(ギター演奏には支障ない程度でよかった)。この日はさらに慎重に。この日は前日と違って立体的な彫像を掘る。初めてポチ実を木彫り像にしてあげようと黙々と格闘、なんと3時間かかって座るポチ実が完成しました。近藤家のモイとマルオも素晴らしい出来。僕はなんだかずっと楽しくて、ずっとニコニコしていたように思う。巣巣の岩崎さんが「はしもとみおさんは神様に微笑まれた人」とよく言うのだけど、なるほどなあ、と実感した2日間でした。







Posted by monolog at 23:40│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
木彫、自分で彫ることは考えたことがなかったですが、ワークショップでの山田さんの様子を聞いて、とても楽しそうだなーと思いました。(自分自身を彫りたくはないですけど!傷、残っちゃうかな?) なぜポチさんのブローチに触れないのか、細密だとは思いますが、やはりポチバッジが好きなんですもの。3Dチミちゃん含め町内会トリオはかわいいと思います(^^;)。「california」という曲も少し訳がわかりました。やはり『omni』を聴かないと「羨望と諦観のコントラスト」を知ることは出来ないのですね…。ごめんなさい。歌詞カードが欲しいだけで、山田さん推奨のデジタル配信ではなく、CDを買い求めそうです。「夜の科学」本当に一期一会。でも少し聴けてうれしいです。メタルパーカッションってよくわからないのですが、単純に一番金属的な音はギターの音のように聴こえました。木を彫る音、意外に大きくてでもやさしいですね。その二つを繋ぐイトケンさん。何処か懐かしいような、でも未知の世界?へ行くような感覚。10分よりもずーっと聴いて揺れていたい感じかな? とにかく山田さんが楽しそうなのがいいです。「フィッシュマンズ」のことを少し知って、きっといいバンドだったと思えて、茂木さんの佐藤さんへの想いも少し知って、ちょっと切なくなっていたところでしたので癒されました(T_T)。 
Posted by motokoishita at 2016年04月13日 05:05
木の香りに包まれながらのライブはとても気分のよい時間でした。
イトケンさんとはしもとさん、本多さんのコラボは宇宙、森の中、アフリカの草原が混然となった場所に自分がいるような不思議な感覚になりました。
ダブの掛かった彫刻音がカッコよかったです。
山田さんのパートはまさかの駄洒落な1曲目。山田さんのお茶目な一面を見た気がしました。
「空前の猫ブームの今、あまり猫、猫言ってると
『日和見やがって』と言われそう」とのことでしたが、ブームに火を着けたのはオレだ!って言ってしまえばよいのに。。。 と思いました。
小説の朗読に続く「ポチの子守唄」はとても心に沁みました。
「夜の科学」は過去の記憶をたぐり寄せてくれるよう曲だなぁと思いました。
見所、聞き所が満載で五感をフル活用して楽しめました。
ありがとうございました。
Posted by ニケ at 2016年04月14日 11:50