


先週末土曜日のこと、等々力 巣巣にて木彫刻家はしもとみおさんの展示「机の上の猫と犬」期間中のイベントとしてコラボレーションライブが開催された。僕は午後からのワークショップにも参加するために早めに巣巣へ。店内に並べられた彫刻の動物たちのいきいきとした様子、何度見ても何を見てもみおさんの手がけた彫刻には溜息がでる。ワークショップは20人弱の参加者、はしもとさんと本多絵美子さんが手をとって教えてくれるが、のこぎりを使ったり彫刻刀で削ったりかなりの重労働だ。2時間かけて座るポチのブローチができあがった。感動体験。去年は僕は見るだけだった。友人のキョウコさんがみおさんのWS参加を熱望し巣巣に連れてきたのだ。今年は僕も削りましたよ。

イトケンさんも到着しバタバタとライブの準備。イトケンさんはエレクトロなデバイスを使ったソロセット、僕は猫の出てくる歌のみで構成するセットリスト。みおさんと本多さんの木を削る音をサンプリングしてその場でループさせたり増幅させたりするリハーサルの様子を見ていたら「夜の科学」という曲を4人で合奏したくなって急遽セットリストに。みおさんが彫った猫たちをステージにずらりと並べて。みおさんに2014年に彫っていただいたポチも一緒。開場すると満員御礼、たくさんのお客さんが観にきてくれました。
イトケンさんのソロセット、みおさん曰く「UFO呼びましたね、ここに」というほどにスペーシーでヘンテコな異空間を創りだしていました。イトケンソロの音は、しかし、とてもあたたかいのです。イトケンさんのためにみおさんが作った通い猫ドラの木彫りもステージに座っていました。みおさんと本多さんが加わっての“合奏”も未知の音体験。とても面白かった。バトンタッチして僕の出番。最初に歌った「california」という曲は2003年『omni』に収められたハイパーアクティブな曲だが弾き語りで小さなフォークソングに変身。「カリフォーニャー、猫が日向を探して鳴く」というダジャレからできた歌だが、僕はこの歌の歌詞を読むと羨望と諦観のコントラストにしみじみ感じ入ってしまう(自分で書いたのに)。


前日に近藤研二さんが鎌倉molnで僕の「日向の猫」をカバーしたという情報を得て、僕もお返しに近藤さんの「眠れねこねこ」を初めて一人で演奏。「ポチの子守唄」「日向の猫」そして「きみは三毛の子」と続く。イトケンさんを迎えての「太陽と満月」はリズムループを鳴らしてイトケンさんがシンセベースという、恐らくこの日限りの即興セッション。「my favorite things」はいつ歌っても気分がいい曲になった。
はしもとみお、本多絵美子両氏を迎えてのセッション「夜の科学」は恐らく10分以上に及ぶ長い演奏だった。もともとお客さんを眠らせるために2000年にイトケンさんと二人で構築した曲を16年経って演奏している、というノスタルジーをみおさんと本多さんの彫刻音がメタルパーカッションのごとく削ぎ落としていく。この日この時間、このメンバーでしか演奏できなかった演奏、巣巣にいた皆さんしか聴くことのできなかった音楽でした。またやりましょうね。




・・・そして翌日の展示最終日にも僕は巣巣へ。この日は近藤研二さんと一緒にワークショップに参加するため。近藤さんが手を怪我しないかヒヤヒヤしていたのだけど、まさかの自分が前日に負傷するというアクシデント(ギター演奏には支障ない程度でよかった)。この日はさらに慎重に。この日は前日と違って立体的な彫像を掘る。初めてポチ実を木彫り像にしてあげようと黙々と格闘、なんと3時間かかって座るポチ実が完成しました。近藤家のモイとマルオも素晴らしい出来。僕はなんだかずっと楽しくて、ずっとニコニコしていたように思う。巣巣の岩崎さんが「はしもとみおさんは神様に微笑まれた人」とよく言うのだけど、なるほどなあ、と実感した2日間でした。



