今月2度目の巣巣ライブ、前回ははしもとみおさんの彫像たちが賑やかでしたが、今回は永井宏さんのみずみずしい凛とした写真や絵が並びました。ライブが始まる前にふと手にとった永井さんと中川五郎さん共著「友人のような音楽」、文章が示唆に富んで素晴らしく読みふけってしまった。そうだ、音楽とは友人のようなものだなあ、とあらためて思う。しばらく会ってなくて照れくさいんだけどちょっと話せばすぐに時間が巻き戻る。共通の友人とはすぐに心が通ったり、ずっとそばにいる親友もいたり。音楽に限らず本だってそうなのかもしれない。この日はまさに “友人のような音楽” を奏でる夜になりました。
会場に遊びにきていたシンガーソングライターの高橋徹也さんによると彼が僕のライブを初めて観たのが2002年の下北沢440、それが僕と中森さんのデュオだったそうで、それがまさに僕と中森さんの初共演のときだった。僕は憧れのヒックスヴィルの人と演奏できるのが嬉しくて舞い上がっていたのか、タカテツさん曰く「なんか力入ってて、印象悪かった」と言う。僕もこのときまさしく「なんだこいつ」って感じでタカテツさんとは口もきかなかったことを思い出した。それが16年経って親しい友人になっているのだからわからないもの。中森さんとの演奏はあのときより全然リラックスしたものになっていたはず。


AMERICAの「名前のない馬」「ヴェンチュラ・ハイウェイ」という僕と中森さんの“得意技”でライブはスタート。ジェイムズ・テイラー「CAROLINA IN MY MIND」は鎌倉ディモンシュでうまく歌えなかった歌。今回初披露の新レパートリーはCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の「ダウン・オン・ザ・コーナー」演奏するのが楽しい歌だ。イシカワアユミさんが加わってニール・ヤング、、そして「ウィチタ・ラインマン」」と名曲群を続ける。好きな歌のカバーは自分の曲より上手に歌えるような気がするから不思議。
永井さんが歌った言葉を歌い継ぐコーナー、さすがに3年目なので自分のものにできてきた感覚がある。イシカワさんからも「もう今は山田さんの声で脳内再生される」というようなことを言われて気恥ずかしくも嬉しい気分になる。最後に自分の歌「光の葡萄」は同じ時代、同じ国で暮らす友人に向けられた歌だ。ああ、この日々が好き、と確信を持って言えますように、と「my favorite things」で締めくくり。アンコールをいただいたので最後は永井さんの本「みんなねている」をみんなで朗読してイベントは大団円となりました。
この日はたくさんの友人が駈けつけてくれて賑やかな夜になった。前述のタカテツさん、近藤研二さん、相対性理論の永井聖一くん、キーボードの佐々木真里さん、イラストレーターのイナキヨシコさんにヒサマツエツコさんや芝生のユサさん、ミルブックス藤原さん、そして巣巣店主岩崎さんファミリー。打ち上げも楽しく夜更けまで。慌ただしい1週間だったが、たくさんのおしゃべりと笑い声でと元気になった。また来年も永井さんのもとにみんなで集まれたらいい。
永井宏作品展は5月1日まで。



