一昨日のこと。この日は下北沢leteでの定期演奏会だったが前日に予定していた海での写真撮影が空模様のせいで順延してしまい、他に代替日がないということで午前中からアクアラインを走って千葉へ。梅雨の晴れ間、日差しも強く一足先に夏の海街へたどり着いたような錯覚。なるべくはしゃがないように気をつけようと思っていたがやっぱり遠浅の海へ着くとテンションが上がってしまう。海!サイコー!みたいな感じに。結果、くたびれ果てて夕方東京へ戻り、下北沢leteへふらふらと会場入り。町野さんに「山田さん、なんか、夏の子どもっぽい感じですねえ」と見抜かれる。
下北沢leteのステージは現在位置を再確認するための大事な場所。この日もリラックスしてこの空間を楽しんだ。先月湯川トーベンさんと話したときに「レテでやるならマイクもアンプも使わない生音でやってごらん」と言われたので序盤の夏の歌はアンプラグドで。12弦ギターの音が水平線に浮かぶキラキラした光のように響く。夏になると歌いたくなる「太陽オーケストラ」、京都でバンド演奏した「keep on rockin'」を弾き語りで。
新作『pale/みずいろの時代』発売前最後のライブということで、アルバムオープニング曲である「pale blue」を初披露。コードは2つ、ライブで大きくなりそうな歌。「スミス」を演奏する前に21年前、1995年に作ったカセットテープのデモを再生。気恥ずかしいが原点はここ。『pale/みずいろの時代』からこぼれおちたアウトテイクとして「毎日のポートフォリオ」と、恐らく初めて歌う「君の街まで」を披露。本来ポチの三回忌である6月19日に開催される予定だった本公演、ポチに捧げて「Qui La Laの夏物語」を。「きららちゃん」は僕の中ではポチのことなのかもしれない。ポチの命日が近いということでたくさんのお花をいただきました。同時にポチ実の誕生月なので「これチミちゃんに」という贈り物もいっぱい。ありがとうございました。
この日は初めてちゃんと「第2の人生」を演奏して歌うことができました。作曲者である近藤研二さんから直接ギターを教わったからバッチリだった。小説のおかげか、Eテレのおかげか、猫が招いたか、初めて僕のライブを観にきたというお客さんが多いライブで新鮮だった。逆にleteは収容人数に限りがあるからチケットがなくて来られなかったいつも来てくれるファンの方もいらっしゃるかもしれないし、みんな大人になってどんどん仕事や家庭での責任が大きくなって忙しくなって、どんどんくたびれてライブ会場からは足が遠ざかっている人もいるかもしれない。かと思うと10年ぶりに僕を“再発見”して歌を聴きにきた人とたくさん会ったこの数ヶ月でもあり、音楽家として20年近く活動してきて思うのは、僕の役割は歌を作ってレコードを作ってステージで歌って、いろんな窓を少しずつ開けて誰が来てもいいようにしておくことだな、と思いました。「初めまして」も「おかえり」も「久しぶり」もどれも一様に気持ちのいい挨拶なのです。
東京では7月2日恵比寿でのレコ発ライブ(本日21時から追加チケットを販売します)、7月末の緒川たまきさんとのトーク&ミニライブ、8月前半は恒例のトラベラーズファクトリーでのライブ、いくつかのラジオ出演もあります。次の下北沢lete公演は夏休みの終わり頃か、ぐうの音も出ないくらいの暑い日に15回目の演奏会をしますのでどうぞぜひご来場ください。