2016年06月29日

予感



新作『pale/みずいろの時代』がもうすぐ発売になるのでここ最近は車を運転したり、事務仕事をするときを自分がこれまで出した作品を客観的に聴き返す時間にしている。こないだ渋滞する環状八号線を走りながら2013年の『新しい青の時代』を聴いていたら、本当に1曲目からずっと良くって、「どこへ向かうか」の溢れる言葉、「一角獣」の疾走感、「光と水の新しい関係」の力強さ、なんなのこの完璧な流れ、と思ったところで「予感」が始まった。雨上がりの夕焼けがとても美しくて、なんというか、とても感動してしまった。

この「予感」は2012年『レンタネコ』という映画を観た夜に「救われない悲しみがこの世界には溢れてる」という歌い出しの歌詞を書いた。東日本大震災以降の心持ちが綴った歌だ。当時のレコーディング日記を読み返すと僕とイトケンさんとエンジニア手塚さんでリズムトラックを録音し、tico moonの吉野友加さんにアイリッシュ・ハープをお願いした。管楽器が入れたくなってクラリネットを持っている安宅くんにうちに来てもらって一日かけてああだこうだとトライ&エラーしたあと、訳あってしばらく疎遠になっていた上野洋くんに数年ぶりに連絡してフルートの演奏をお願いした。そこに佐々木真里さんがグロッケンを重ねて、この室内楽のように美しい「予感」は完成したのだ。

そういう一連の繋がり、流れをいっぺんに思い出すような、黄昏時の環八での「予感」でした。音楽はタイムマシンのように記憶を再生させる。新しい作品を作るとこれまでの作品が古くなるわけではなく、むしろその実像がより色濃くにじみ出てくるから不思議だ。僕は時間が経っても古びない歌を作りたいと思ってこれまでやってきたし、ようやく自分自身の作品を穏やかな気持で振り返られるようになってきた。あれもこれも、どれも愛すべきレコードだ。

Posted by monolog at 12:56│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
「どれも愛すべきレコードだ。」あー山田さんからこの言葉を聴くことが出来てなんだかとてもうれしいです。インスタの買ったレコードコーナーには山田さんが好きなものが並んでいますが、今、山田さんの曲にはまっていて、一番いい!と思っている身としては、音楽家の方はご自身の曲はあまり聴かないのかなぁ?とちょっと淋しかったわけです。『新しい青の時代』を初めて聴いた時、「予感」はきっとある時がくればとても感動するだろうという予感がありました。その時の私は、心にしがらみがあって素直じゃなかった。それこそつまらない大人になっていたのかも。その後、山田さんのライブも聴いて、ある日、ある時、突然心が解放されて泣けました。今では、この曲を聴いて感動できるかどうか?が素直さを測るバロメータになっています。うーんアレンジもすごく好きです。やはり思考錯誤あったのですね。 雨上がりの夕焼けの中、最高です。先日、インスタに載せて下さった「ナイトライフ」が流れる動画、「予感」と差し替えて想い人と夜のドライブ、星屑が降り積もるように見えるビル群の夜景を眺めたら、ますます惚れてしまうであろうと…。 久しぶりの暑さにまたおかしくなったようです。ごめんなさい(^^;)。
Posted by motokoishita at 2016年06月29日 21:15