いろんな映像とかエピソードから“饒舌だけどクール”という勝手な印象を抱いていたピーターは、実際はとてもジェントルで穏やかで話をちゃんと聞いてくれて、これまで以上に大好きになったし、ピーターが関わっている音源(ソロも含めて)をもっとちゃんと聴こうと思いました。自分のCD『新しい青の時代』を渡しながら「New Blue Periodという意味です」と説明したら「うんうん」と頷いてくれた。ピーターが演奏に参加していない「Nightswimming」にインスパイアされた「月あかりのナイトスイミング」を、いつか聴いてくれる日がくるだろうか。
それぞれのキャリアの代表曲、連綿と続くパワーポップの系譜を感じさせるカバーをはじめ、MINUS5、THE BASEBALL PROJECTというサイドプロジェクトの楽曲の魅力も再発見させられたライブでしたが、やっぱり「SUPERMAN」「(DON'T GO BACK TO)ROCKVILLE」とR.E.M.のレパートリーが演奏されたときはいっそう心が弾んだ。このときめきが音楽の力なのだと確信しました。
きっとみんなに呆れられるくらい、3日間でサインをたくさんもらって、一緒にいっぱい写真も撮ってもらった。こんなに笑ってる自分の写真はあんまり見たことがない。本当に中学生に戻ったみたいな感覚でした。アメリカオルタナ重鎮の音楽家たちはみんな揃って優しかったな。YOUNG FRESH FELLOWS、MINUS5、そしてR.E.M.を支えるサブメンバーであるスコット・マッコーイはこのスペシャルバンドをまとめる要として陽性のオーラをまとっていたし、FASTBACKSのカート・ブロックは観る者すべてを笑顔にさせたのではないでしょうか。DREAM SYNDICATEのスティーブ・ウィンは歌もギターも力漲ってそのコンスタントな活動の充実ぶりを見せつけ、紅一点リンダ・ピットモンのドラムとコーラスはとても可憐で力強かった。今回初めて知ったグリーンランドのバンド「ナヌーク」もDEATH CAB FOR CUTIEとシガー・ロスをかけ合わせたようなサウンドでエモーショナルで見応えがあったし、こういう貴重な公演を堪能することができて本当に幸せでした。
マイクとピーターと一緒に撮った写真では(ライターの和田さんが撮ってくれた)僕は言うなればマイケル・スタイプの位置に立っているわけで、もう気持ちが高まりすぎて顔がくしゃくしゃだ。マイクがピーターを呼んで「これ見てみー」と僕の『緑の時代』のブックレットを広げて笑っていて、『新しい青の時代』を持ったピーターが「やっちゃったな!You did it!」と言っている瞬間。1987年に出会って以来R.E.M.が一番好きなバンドだったけど30年経ってもっと好きになるなんてな。あれから1週間、僕はほぼ毎日レコード屋通いをして、またせっせと関連するレコードを集めまくっているところです。好きなものを好きでい続けると良いこととか嬉しいことばかりが返ってくる。これからも「好き」を続けたいと思う。音楽って本当に素晴らしいものですね。