2017年03月07日

『陥没』を観て東京オリンピックを想う



昨日のこと。ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の舞台『陥没』を観るために「えいや!」と大阪へ出かけた。東京シアターコクーンでの日程があわなくて観劇叶わず残念に思っていたところ、いろんなパズルピースが噛み合って、大阪での最終公演のチケットを取ることができたのだ。昨年観た『キネマと恋人』で自分内演劇革命のようなものが起きた。『キネマと恋人』が1930年代の架空の島を舞台とするのに対して『陥没』はその30年後の1960年代、アジア初のオリンピック開催に湧く東京での話なので、おのずと戦争と敗戦を挟んだ物語の続きとしてこのファンタジーをわくわくしながら見つめることになった。2020年の東京オリンピックのときにわれわれはどういうふうに翻弄されることになるのだろうかなどと妄想しつつ。

オープニングのタイトルバックであっという間にタイムトリップ。井上芳雄、小池栄子、松岡茉優、山崎一、生瀬勝久をはじめその豪華なキャスト全員が生き生きと駆け回り、それぞれの存在感が強烈で目まぐるしい。途中休憩をはさんで最初から最後までずっと笑って、カーテンコールではなぜか感動して涙がこみあげてくる不思議。この感想をだれかに伝えようと思っても、濃厚なパラレルワールドの素晴らしさをうまく言えない。3時間半とそれに付随する時間、チケット代と引き換えに受けとった替えのきかないエンターテイメントでした。終演後に緒川たまきさんに久しぶりにご挨拶、千穐楽に駆けつけていたケラさんとも少しお話ができて嬉しかった。この芳醇な世界観を司る、ケラさんの頭の中は一体どうなっているのか。刺激をもらって元気が出た。とても幸せな一日でした。

興奮を冷ますように、森ノ宮の会場から京橋まで大阪城公園をつっきって歩いた。ここへ来たのは1989年にU2を観にきたとき以来だと気づく(B.B.キングと一緒に来日したときだ)。高校1年生だった僕が43歳になっているので高校を卒業できていなかったら僕は高校28年生だ。お堀に浮かぶカモたちを眺めながら思ったのは、「山田さんはフットワーク軽いですね」とよく言われるけど本当は全然そんな、「フットワークが軽い性分」なんてものでは全然なくて、このカモのように必死でバタバタと駆け回っているのだよ、ということだった。大阪まで来てよかった。

Posted by monolog at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)

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