2017年04月05日

天使たちの嵐のあと|吉祥寺でHARRYインストアライブを観た



先々週だったか、HMV record shop吉祥寺コピスのオープン前の内覧会に参加させてもらって、そのときに僕の目を釘付けにしたのは店内に貼られた「HARRY インストアライブ決定!」の文字だった。僕が高1のときに初めて組んだバンドはストリート・スライダーズのコピーバンドだったから、その名は僕の脳裏からは消えることがない。僕らが組んだバンドの名は「Empty Heart」、これもスライダーズの(正確にはHARRYと蘭丸のJOY POPSの)曲名からの引用だった。知り合いのHMVスタッフの方に「本当にHARRYが吉祥寺で歌うんですか!」と問い詰めると「こないだ渋谷HMVでもやったんですが、HARRYがスライダーズを4曲歌ったんですよ…」と息を飲んで言うのだ。わなわなと震える僕。

そしてHMV record shopコピス吉祥寺はオープンし、HARRYインストアライブの日がついにやってきた。その日僕は南青山ビリケンギャラリーでのライブだったのだけど、万難を排して開始時間にお店へ。びっくりするくらいたくさんのお客さん。やっぱりHARRYの歌を三多摩地区で聴くというのは特別な体験なのだ。僕が最後にスライダーズのライブに行ったのは中学生、高校1年のころだっただろうか。30年近くぶりということになる。ステージの方向へ進むと知った顔、は!元フィッシュマンズのギタリスト小嶋さんだ。こないだ西荻ラバーズフェスに続いてここでもばったり。「来てると思ったよ」と言われた理由は、小嶋さんと一緒になったイベントで僕がスライダーズの「Angel Duster」を歌って会場内が大合唱になってスライダーズ話で盛り上がったからだ。小嶋さんと並んでHARRYの登場を待つ。小嶋さんに「佐藤さんもスライダーズ好きだったんですか?」と訊くと「一緒にコピーバンドやってたよ。あいつはドラムだった」と胸が熱くなるエピソード。

そしてついにHARRYが登場。昼の3時なのに第一声が「ドーモ、コンバンワー」で最高。「ありったけのコイン」が始まって泣きそうになる。うっすらと至るところからシンガロングが聞こえる。全部歌えるよね。続いて「PANORAMA」、これは僕のなかでは後期スライダーズの範疇の、意外な選曲だった。そして続く「Midnight Sun」は僕がフォローアップできていないHARRYソロの楽曲だったのだけど、これがとても良かった。大人のブルースだった。本編最後は「BUN BUN」、1986年『天使たち』のなかの軽快なロックチューン。僕にとって最初のスライダーズ体験はこの『天使たち』というアルバムだったから、アンコールで「嵐のあと」を聴いてしみじみと感慨にふけったのでした。4曲30分、現在と過去を行き来するような不思議な時間だった。

興奮冷めやらぬ熱を冷ますために小嶋さんと賑わう吉祥寺のカフェでお茶。僕ら(僕と当時の同級生たち)はスライダーズを相当背伸びして聴いていたのかもしれないなあとリアルタイム世代の思い出話を聞きながら30年前を振り返った。2年前蘭丸(土屋公平さん)にお会いすることができて、そのときはブルブル震えながらサインをいただいた。この日HARRYのサイン会に並ぶことができなかったのはきっと僕が中学生みたいな爪先立った気分になったからだ。スライダーズの歌を聴いていつも思い出すのは、初めて組んだバンドでオリジナル曲を作ろうという話になったときのことで、ボーカリストが(そのバンドで僕はギタリストだった)「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」という歌い出しを書いてきて、そのHARRY文法を模倣したフレーズをみんなでバカにして笑った放課後のこと。小嶋さんが「あの頃ペイズリー柄のシャツは基本」「HARRYが履いてるようなブラックジーンズなんて田舎じゃ売ってなかったよ」と言ったときに、またこの「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」を思い出した。きっと忘れることはないだろうな。

その日からずっと家でスライダーズを一日一枚ずつ聴いている。

Posted by monolog at 12:00│Comments(0)TrackBack(0)

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