2017年04月15日

永井宏作品展 la musique sur l'elephant LIVE「音楽で表現すること」(2017年4月8日 @ 等々力 巣巣)【ライブ後記 その1】

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先週末の巣巣、永井宏個展ライブでのこと。あれから1週間が経ってしまったけどまだじわじわと心が熱く、友だちに会えば「こないだすごかったんだよ」と詳細に報告しながらまた興奮を新たにしてしまうような、そんな一日でした。巣巣岩崎さんとイシカワアユミさん、ヒックスヴィル中森さんと始めた永井宏さんを回顧する音楽イベントは2014年以来今年で4回目となった。永井さんが日本語をつけて歌ったボブ・ディランのカバー「くよくよするなよ」を僕らは毎回演奏してきたのだけど、「くよくよしないで/イッツ・オールライトやで」と歌われるその歌を「永井さんは東京出身なのになぜ関西弁なんだろう」と答えの出ないまま、九州出身の僕と中森さんは「イッツ・オールライトばい」とか「オールライトたい」などと九州弁にさらに翻訳して歌ったりもしていた。

その関西弁の謎が少し解けたのはちょうど去年の春のこと。『マーキュリー・シティ』という永井さんの著書(絶版)のなかに「劇団『ブリキの自発団』の『柔らかい肌』のなかで女優の片桐はいりが、ボブ・ディランの『くよくよするなよ』に自分で勝手に詩をつけてPPM(ピーター・ポール&マリー)スタイルで歌っていた」という旨が書かれた一文を僕らが発見したことに端を発する。

だいじょうぶ、君なら何とか出来る。だから、くよくよしないで、イッツ・オールライトやで…と、キメの部分を大阪弁の語り口調でやるのだがとにかくここが良い。作・演出の生田萬のオーダーで俄仕立てのPPMをやることになったとのことだが、ギャグとか意表をついたとか以上に、彼女自身の存在や感情を、そしてその才能を軽いジャブのように伝える。そしてそのときに「イッツ・オールライトやで」と語りかける彼女に、女優としての彼女の在り方をものすごくロマンティックに感じてしまったのだ。(永井宏『マーキュリー・シティ』「思い出せるかぎりのフォークオリエンテッド」追記文より引用)

昨年のステージではこの事実の判明をMCで紹介したと思うのだけど、「いつか片桐はいりさんにもここに来て欲しいですよねえ」と言ってみんなで夢見がちに笑ったことを僕は憶えている。「イッツ・オールライトやで」についての詳細をご本人に確認するチャンスは実は去年の秋に訪れた。東京芸術劇場で舞台『あの大鴉、さえも』を観劇したときだ。片桐はいりさん、小林聡美さんと藤田桃子さんの三人芝居の終演後、僕は楽屋へ挨拶しにいく機会を得た。緊張みなぎるなか「実は僕は永井宏さんを歌い継いでいて…」などと言葉を組み立てながら向かった舞台裏、僕は小林さんに『ひなたのねこ』帯文の御礼を伝えるのが精一杯で数メートル先に見えるはいりさんには辿り着けなかった。はいりさんと小林さんが色違いのジャージ姿なのが印象的だった。

まだ寒い1月の終わり頃、巣巣岩崎さんと4回目の永井さんイベントについて打ち合わせをしていて、カーネーション直枝政広さんが永井さんとご縁があるそうなのでライブご一緒できないか、という話になり出演を打診、快諾をいただいた。「今年はなんだか今までで一番賑やかになりそうだ」と盛り上がるうちに「片桐はいりさんにも出てもらえたらすごいね!」ということになって、思いをこめた手紙をしたためたところ、快くお返事をいただけたのが3月。事前に巣巣で打ち合わせがあり、はいりさんに初めてお話を伺った。「私、この本持ってたのにどこにいっちゃったのかしら」と『マーキュリー・シティ』を懐かしそうに見入って、「イッツ・オールライトやで」のこともいろいろ明らかになっていった(舞台上での役柄が関西出身という設定だったから「〜やで」だったそうだ)。ギターを持っていった僕が「こんな感じで歌ってるんです」とやってみると、2番をはいりさんがおもむろに歌いだして本家の「イッツ・オールライトやで〜!」を目の前で目撃して僕も巣巣岩崎さんも言葉をなくすほど感動した。はいりさんの著書『グアテマラの弟』に書かれた弟さんが実は岩崎さんと同じ大学の先輩だったり、はいりさんが学生時代を過ごしたのが吉祥寺だったり、話は繋がって盛り上がって、はいりさんもどんどん当時のことを思い出して、永井さんについて僕らの知らないことがどんどん紐解かれていきました。

とにかくライブ当日は永井宏さんを回顧するトークとディラン「くよくよするなよ」を演奏したいことをお伝えして、その打ち合わせは終了。一ヶ月後の4月8日、永井さんの七回忌が行われる日に巣巣にみんなで集まることになったのでした。(続く)

Posted by monolog at 10:14│Comments(0)TrackBack(0)

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