2017年05月28日

夜の科学 in 下北沢ー小箱のなかの音楽18/19(2017年5月23日/5月25日 @ 下北沢lete)【ライブ後記】

P1070204

今年2回目の下北沢lete公演はカバーと提供楽曲のみで構成するステージになった。2013年から続けてきたこの小さな空間でのライブが僕は大好きで、しかし、5年目となる今年はその心地良さにあぐらをかかずに毎回初めての試みにトライしようと思ったのだ。2月は男性客限定のライブを開催、満員御礼の素晴らしい夜になった。そして今回の「カバー&提供楽曲」限定のステージと相成った。チケットが瞬間的に完売してしまったのは物珍しさもあったからだろうか、leteのご厚意もあり追加公演とあわせて2日間のレアでエクスクルーシブな夜になりました(初日は前回の揺り返しか全員女性客という結果に)。

もしかしたら僕自身が一番楽しんだかもしれないステージを振り返ってみたいと思います。まずオープニングに選んだのは「happy days」というアニメ『あまえないでよっ!!』EDソングになった曲。大好きだった歌で、2000年代にはライブで演奏したことも多かった。ギターポップ+カントリーという趣き、「雨の洞窟を抜けたら」というポジティブなキーワードなど、自分らしさが詰まった歌だな、と改めて思いました。オリジナルはここで聴けました。この音源で僕はエレキギターを弾いてる。上野洋くん、安宅浩司くんと一緒に作業したことを思い出します。「セツナ」は2007年に坂本真綾さんに提供した、これもメロディと歌詞が美しくマッチしたタイプの、大好きな歌。「君を想うだけで」は珍しく男性シンガーに歌詞を書いた(作曲とプロデュースはラウンドテーブル北川くん)提供曲で伊礼亮さんが素晴らしく吹き込んでくれた。ここでダイジェストを聴けます。そしてこのライブで満を持して歌いたかった中島愛さんの「最高の瞬間」。今年リリースされた復帰作のために歌詞を書かせていただいた思い入れの強い1曲。歌ってみて、とにかく発語の快感のあるポップソングだと感動しました。作曲は古川貴浩さん。この歌をまめぐちゃんがステージで歌うところを早く観てみたい。

P1070131

そして“盟友コーナー”と名付けたパートへ。まずは同日同時刻(初日の23日)にleteから目と鼻の先でライブをしていた高橋徹也さんの「真夜中のドライブイン」を自分のキーに合わせて歌う。出会いの曲、20年が経った。好きな歌は上手に歌えるから不思議だ。続いて、なんと13年ぶりの新作をリリースしたPLECTRUM。ボーカルのタイスケくんは同郷人であり、ギタリストの藤田顕くん(アッキー)にはGOMES THE HITMANで5年くらいギターを弾いてもらっていたから他人事ではない。快作の発売を祝って2000年に彼らが出した「BOOKEND」という青春賛歌をカバー。

そしてPECTRUM、advantage Lucyとともに2000年代前半をともに過ごしたセロファンの「ストレンジャー」、これも感慨深かった。僕らはみんなセロファンという船のポップシーンへの帰還を待っているのだ。そしてHARCOとも20年ちかい付き合いになった。HARCO名義での音楽活動を今年で終了する彼は、そのニュースが世に出る前に電話で報告をくれたのだけど、僕にはポジティブな選択だと思えた。華々しいフィナーレと新しい出発を心からお祝いしたい。HARCOと昨年共作した「春のセオリー」を初めて一人で。とてもいい歌。完成したレコードの発売も7月の共演も楽しみ。

P1070176

P1070183

GOMES THE HITMAN最初のライブは1993年の4月だったのだけど、そのステージで歌うために最初に選曲したのはR.E.M.の「THE ONE I LOVE」という曲だった。ボーカル人生の始まりの歌が世界一好きなバンドの歌だったなら物語は美しかったはずなのだが、結局僕はサビで「ファイヤー!!」と絶唱する部分を歌うことができなかった(声量的な限界、恥ずかしい…という理由で)。なので24年経った2017年に思い切り歌ったのだ、このライブで。そして、そのR.E.M.の曲の代わりに初ライブで披露したのがLEMONHEADSの「It's a Shame about Ray」だった。同名のアルバムのほとんどの曲をコピーしたから、この作品は自分にとっての教科書だ。今でも神々しい光を放ちながら折に触れてレコードがターンテーブルに乗る。

洋楽カバーは少なめにして、日本語の歌をたくさん歌おうと思った今回のステージ。「確かな光」は高野寛さんの歌のなかでも特に僕の心を掴んで離さない。循環コードでぐるぐると巡っていく。森山直太朗「風になって」は今回最も予想外のセレクトだったかもしれないけれど、この歌はちょうど10年前にリリースされた、彼のファンになるきっかけとなった大好きな曲。“そう簡単には感動させない”という心意気に共振する。1990年代にたくさん聴いた日本語のロックには大きな影響を受けたが、はっぴいえんどを“発見”したタイミングで出会ったサニーデイサービス『東京』は特別なレコードだった。そのなかから一番好きな「あじさい」をカバー。

もちろんフィッシュマンズは外せない。これまでも何度もカバーしてきたが、せっかくなら初めての試みを、と『宇宙 日本 世田谷』から「Weather Report」を弾き語りで。暑いくらいの春の日や台風の夜になると必ず口ずさんできたこの曲も今年でリリースから20年になる。20年唇になじんだフレーズがあるという幸せよ。そして小沢健二。小沢健二がいなければ僕は日本語で歌詞を書くようにシフトしなかったわけで、僕は小沢文法を学習して四半世紀近く歌を作り続けているのだ。この春出た新作「流動体について」について僕らは(僕と友人たちは)侃々諤々と議論を続けたが、僕は僕で「歌ってみたらもっと解明できることがあるかもしれない」と自宅でずっとギターを爪弾きながらぼそぼそと歌詞とメロディを追って季節を過ごしました。気づいたらこの難しい歌が弾き語りできるようになっていたので、初めて人前で。2回転調するところを僕は1回だけで。「続きをもっと聞かせて」という思いを込めて。

Eテレ0655おはようソングの「第2の人生」は声を提供した歌ともカバーとも呼べますね。ジャムの瓶、靴下、そしてもう1パターン録音したような気がしていたのだけど、それは夢か妄想か。本編最後は村田和人さんに2014年に歌詞を書いた「Brand New Day, Brand New Song」。ライブ前日に偶然杉真理さんからメールが来たので「明日歌うんですよ」と伝えると「いいねえ!」と返事が。僕と杉さんは村田さんの次に多くこの歌を歌っている。村田さん、もう僕の持ち歌みたいに思ってきましたよ。歌も残った僕らによって第2の人生を送るのです。

P1070265

アンコールではボブ・ディランの「Don't Think Twice It's All Right」に永井宏さんが日本語をつけた「くよくよするなよ」を。片桐はいりさんとヒックスヴィル中森さん、カーネーション直枝さんとの共演がフラッシュバック。最後の最後は故郷である佐賀県基山町のために書いたPRソング「言葉に感情を、心に感動を」。この曲は自作自演曲でありながら、この曲を受け取る人たちの立場に目線を合わせて書いたから提供曲的な感覚もある。あっという間に2時間を越えたライブ、2日間やれて本当によかった。東京以外の街でもやってみたいなあと思いました。すべての瞬間が楽しかったです。自分が書いた言葉でも自分ではない他の誰かが歌うとその人の歌になるし、誰かが書いたメロディも自分で歌ってみると自分の歌になる、と思った18回目と19回目の「夜の科学 in 下北沢leteー小箱のなかの音楽」でした。

2日間入れ替え制で満席のお客さん、ご来場ありがとうございました。感想をもっともっと聞かせてもらえたら嬉しいです。

Posted by monolog at 10:55│Comments(1)TrackBack(0)

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/monolog/52188229
この記事へのコメント
10日も経ってしまい、感想をどこに書けば良いかわからなくなったのでこちらに。

25日の追加公演に行きました。追加公演設定いていただいたおかげでとても楽しい時間と、新しい音楽に出会えました。
これまで私が聴いていた音楽と言えば流行ってる曲でたまたま耳に入ってくる曲がほとんどで、自分から知らない曲わを探したりなんてことは皆無で、正直今回のセットリストで知ってる曲は1曲もなく(オザケンさんの新曲ですら噂は聞いてましたが一度も聴いてなかったのです)、おかげで全て山田さんの曲かのように聴くことができました。
セットリストが公開されてすぐにネットでオリジナルを検索して、聴けるだけの曲を聴きました。
感想は、オリジナルってこんなの⁈です。
どんな曲も山田ワールドにしてしまうんですね〜。
そしていくつかの気に入った曲をダウンロードしました。ライブももちろん楽しかったし、新しい曲とも出会えた、良き日でした。

残念なのは仕事がトラブって最初の3曲が聴けなかったこと。是非また面白いチャレンジングなライブを企画してくださいね。次回は最初から最後までかぶりつきで聴きます!
Posted by osa at 2017年06月04日 11:01