2017年11月15日

“コーヒーと音楽と猫”(2017年11月4日 @ 大阪 中谷運輸築港ビル(旧商船三井築港ビル)【ライブ後記】



とにかく慌ただしい毎日で、大阪での奇跡みたいな2日間から10日ほど経ってしまいました。それでもいろんなことを明確に憶えていて、きっとずっと忘れないのだろうなと思います。前日の設営から旅の行程などについてはfishing with john 五十嵐くんのブログに面白く書かれていて、共演の高橋徹也さんも彼のブログに早々に詳しく記してくれています。おおくぼくんのブログも面白かったな。とにかく準備段階から不確定要素が多くて、どうなることかとざわざわしながら迎えた「海岸通文化祭 みなとミーツ」でしたが、たくさんのご来場者に助けられてとても楽しい2日間となりました。くたくたになったのにまた来年もあったらいいな、と思っている自分がいます。2日間に渡ったステージの模様をひとつずつ振り返ってみたいと思います。

会場は、レトロビルといえば、響きはいいのだけど、普段は使われていない古いビルの一室。蛍光灯しかない部屋でした。窓の外には電車が走るのが見えます。東京から音響機材を持ち込み前日のうちにセッティング、そしてLEDライトや家中の照明器具
を持ち寄って殺風景な空間に柔らかい明かりを当てることに苦心した。おおくぼあおいもなかくんはステージ背後にクラフト紙を貼ってライブペインティングの準備を。日が暮れて到着した僕らが会場の準備をすべて終わらせたのはもう23時を回ったころでした。そして翌日、まだよく晴れて太陽の光が明るい時間にライブが始まったのでした。満員御礼の会場、音楽を鳴らすのに完璧な空間がそこにありました。

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僕とタカテツさん、ふたりとも出ずっぱりという去年から4度目となる共演。今回は背後でおおくぼくんが絵を描いています。僕が先攻、秋の季節ということで「光と水の新しい関係」「アップダイク追記」で幕開け。タカテツさんはリリースしたばかりの新作から「Style」「八月の疾走」とテンポよく続きます。おおくぼくんは楽曲の歌詞にインスパイアされた絵を自由に描いては消していきます。せっかくだから普段やらないことをやろう、ということになってお互いの好きな邦楽カバーのコーナーを作ったのですが、お互いの演奏を聴くのはこの日が初めて。僕はb-flowerの「つまらない大人になってしまった」、タカテツさんはザ・ピロウズ「ストレンジ・カメレオン」を歌った(僕は八野さんに、タカテツさんは山中さんにカバーすることを報告していました)。そしてふたりとも影響を受けたフィッシュマンズ「エブリデイ エブリナイト」のセッション、これがとても良かった。歌いながら感動したのです。

ちょうどこの頃になると日が陰り、暖色のライトが壁を染め始めました。窓の外にはうまい具合にオレンジの明かりに照らされた街路樹。おおくぼくんがラップスティールギターを担当し、タカテツさんの迷曲「猫とホテル」を3人でセッション。これも最高でしたね。音源化するなら僕も入りたいです。このイベントにコーヒーを提供してださったアアルトコーヒー庄野さんが編纂した本のなかから朗読を。僕は「大阪の可能性」という織田作之助の随筆を一節。そしてタカテツさんが島崎藤村の「太陽の言葉」を読み、僕とおおくぼくんが音を添えました。これも奇跡的なタイミングで素晴らしいセッションだったと思います。「わあ、ぶっつけでこんなにうまくいった!」とびっくりしました。

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後半は駆け足で進んでいきました。僕はバリ島へ行って書いた新曲を。タカテツさんは「Style」から切ない歌を。特に「夕暮れ星」という曲が僕は大好きで聴き入ってしまいました。「小さな巣をつくるように暮らすこと」では最後のラララをお客さんにもタカテツさんにも歌ってもらった。「真夜中のドライブイン」では僕がハーモニカを。ふたりの共演での「幸せの風が吹くさ」も堂に入ってきました。大好きな人、お店、もの、音楽ばかりをかき集めたこのイベントには「Favorite」という言葉がキーワードのような気がしました。まずタカテツさんの「My Favourite Girl」、そして僕の「my favorite things」をふたりで演奏してイベントは大団円を迎えました。皆さんの手拍子が効いて、この2曲がハイライトでした。

慌ただしく駆け抜けた2時間半でしたが、お互いへのリスペクトがなければこんな構成のライブはできないなあと改めて思ったのです。おおくぼくんのウィットに富んだ絵やギターもよかった。終演後、背景の絵を眺めながら3人で「ふー」と深い息を吐いたのでした。この日の打ち上げはとにかく楽しかったな。酒豪の庄野さんを前に珍しく熱燗を呑むタカテツさんや、やけに声の大きな五十嵐くん、前の晩に猫30匹とともに保護猫シェルターで過ごした話で盛り上がるおおくぼくん。地下階でのライブのために札幌から来ていたカポウさん、前乗りしたイトシュンも含めて、様々な点と点が線に繋がっていく感じ。こういう感じが僕は大好きなのです。海岸通文化祭 みなとミーツ初日、無事終了。

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Posted by monolog at 20:35│Comments(0)