2018年01月10日

VAP時代のGOMES THE HITMAN|サブスクリプション配信が始まりました

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ずっと小さな念願だったのですが、VAP在籍時のGOMES THE HITMANの2枚のアルバムと2枚のシングルの、音楽定額配信サービス(サブスクリプション)サイトでの配信がスタートしました。Apple Music、LINE MUSIC、Spotify、Google Play Music、Amazon Music Unlimitedっていうのでも聴けるのかな?(これは未確認)、とにかく主要なプラットフォームで足並み揃えて配信開始となっています。BMG時代のものもほぼすべて配信されているので、これでGOMES THE HITMANの公式音源は『mono』以外が気軽に触れられるようになりました。

「あたしゃアナログ人間なんでサブスクとか言われてもわからない」という人もまだいると思いますが、とても便利なサービスです。毎日ばかみたいにレコードを買ってる僕もApple MusicとSpotifyで毎日の音楽を楽しんでいます。これを機会に試してみるのもお薦めです。サトミツ&ザ・トイレッツのアルバムもサブスクで聴けますので。この配信をきっかけにVAP時代の作品をここ数日かけて振り返っていました。Twitterにつぶやいた言葉に補足して、下記にまとめます。

お正月明けの、黄昏から夜にかけての第三京浜を走りながらGOMES THE HITMAN『ripple』(2005年)を爆音で聴いて、とても感傷的になって、やたらと感動した。よくもVAPはこんなのを作らせてくれたなあと改めて思う。2曲目に8分越えの「ドライブ」、ラスト前に10分越えの「夜の科学」と、おおよそポップスバンドとは思えない曲が並ぶ。このアルバムからは「手と手、影と影」というCMソング(JACCSカード)が話題になったり、アニメOP曲「明日は今日と同じ未来」も収録したが(シングルバージョンとは全然違うアコースティックVer.というヒネクレ…)どこまでも重く沈んでいく「RGB」とか、前述の長尺曲2曲とか、音楽的な達成感や充実感と同時にバンドが終焉に向かっていく感覚を僕はどこかで感じていたかもしれない。2018年になってまた楽しくメンバー4人で集まれて何か新しいことを企んでいるということが嬉しい。これがラストアルバムにならなくてよかった。『ripple』は13年前に出た、現時点でのGOMES THE HITMANの最新作です。今回の配信でiTunes Store限定トラックだった「Death Valley '05(A Sort of Homecoming)」もお聴きいただけるようになりました。

『omni』というアルバムはVAPと契約して初めて制作されたアルバム。今年でなんと15周年になる。2002年の『mono』の反動か、バンドサウンドとかメンバー間の化学反応に期待をかけて作られたレコードだなあと改めて感じる。レーベルに付属する大きくて立派なスタジオを好きなように使わせてもらって、バンドアレンジにも時間をかけた。もしかしたらキャリアのなかで一番迷いの多いアルバムかもしれないけど、10数年経つと全曲愛おしい。「愛すべき日々」を書き上げた達成感を忘れない。「day after day」は最近また好きになりなおした曲。「そばにあるすべて」はこの作品の核心。「それを運命と受け止められるかな」は再始動後バンドで何度か試したけど未だ消化しきれずにいる大きな大きな曲(なんどもリハーサルしたけどステージでは演奏していない)。『omni』の裏テーマは“communication”だった。『mono』の対としての『omni』は、コミュニケーションの綴りの中に含まれる4文字。今ならきっとあの頃より上手くやれるはず、と思う。

2004年というのは春から夏にかけて僕が呼吸器系の病気に伏せた1年だったが、1月と11月に2枚のシングルを出した。4曲入り「夜明けまで」は僕が出したいと主張して作った2002年『mono』からの再演集。演奏は落ちついてるけど初期衝動のようなものが、ない。だけどこのときはこれがやりたかった。レコーディングスタジオで「せーの」で録りなおしたかったのだ。20世紀中に書いた「男なら女なら」を忍ばせられたのが嬉しかった。「明日は今日と同じ未来」は降って湧いたようなアニメOPタイアップでリリースした、おそらくバンド史上一番収録時間の短い2曲入りのCD。病気休養後初のレコーディングで超ナーバスだったな。アルバム収録ver.より半音キーが高く、エレキギターが引っ張っていく空気感、まったく別の曲という感じがする。カップリング「GOLDEN8」は日本語にすると「金八」、荒川土手の風景が目に浮かぶ曲。卒業ソングだと僕が強く言い張ったので、中・高校の放送部に配るための紙ジャケ仕様のプロモ盤が作られたが、僕も持ってないようなレア物になった。思春期の誰かの心に届いただろうか。ジャケに映るキャンバスの絵は今もすべて僕の仕事部屋に飾ってある。

「夜明けまで」までヘビースモーカーだった僕は病気をして煙草をやめ(肺気胸という僕みたいな体型の男性に多い病気でした)、「明日は今日と同じ未来」以降非喫煙者となり、 “煙草”というアイテムが歌詞に登場しなくなります。2004年は自分にとってそういう年でした。だから今「僕はこの煙草の一本が終わるまでに君のところへ」と歌うとき、とても感慨深いのです。


もうあの頃から15年が経つと思うと唖然としてしまうが、それでもこれから先の人生はこういう“唖然”の繰り返しで過ぎていくのだろうか。音楽の旅はまだまだ途方もなく続いて、その最新の現在地は今このとき、この瞬間だけど、過去の自分が作ったものが時を越えて誰かの心に響いたらいいなあと常に思っているし、だから昔の歌をライブで歌う。2018年に、皆さんそれぞれのライフスタイルのなかで、iPhoneの小さなスピーカーとか、イヤホンとか、PCなんかでとてもカジュアルに、日常的にGOMES THE HITMANの軌跡を聴いてもらえたら嬉しいな、と思います。思わぬ再発見などもあったらいいな。

現在地に続く線路沿いに咲いた小さな草花のような、ささやかな歌たちをどうぞよろしくお願いします。新しい季節に。


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Posted by monolog at 08:45│Comments(0)