2018年01月11日

極北の青春群像劇|映画『サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け』

1970年代に登場し、グリーンランド語で初めてロックを奏でたロックバンド「スミ」について映画『サウンド・オブ・レボリューション 〜グリーンランドの夜明け』を今月12日からの劇場公開に先駆けて観させていただいた。スミの音楽や姿勢は当時統治下だったデンマークからの自治権獲得に大きな貢献をもたらした。言うなれば音楽と政治と時代背景が密接に絡み合った季節のドキュメンタリーなのだけど、僕は当時の映像素材のなかの躍動的で表情豊かな若者たちの姿を目の当たりして、僕がこれまで知るよしもなかった彼方の街を舞台にした、ひとつの青春群像劇として憧憬の念を持って見つめた。その舞台がどこであれ、時代に翻弄されるのはいつも市井の人間であり、その戸惑いや想い、理想や希望は世界共通のものだと感じる。

何よりスミが奏でる音楽がとてもよかった。ソリッドで、メロディアスで、ささくれていて、懐かしいようで新鮮。ウェールズ語で歌うイギリスのゴーキーズ・ザイゴティック・マンキにも似た不思議な感覚がクセになる。シガー・ロスをはじめアイスランドや北欧の音楽家たちへの影響も少なくないだろう。音楽というものがどれだけ人の心を支えたり、動かしたり、鼓舞したりするか、ということを改めて思い知らされた。東京では12日からユーロスペースで上映。沖縄と福岡でも。



Posted by monolog at 09:49│Comments(0)