2018年01月27日

あふれる音楽愛|甲斐みのり 中島愛『音楽が教えてくれたこと』のこと



感慨深い本がミルブックスから刊行されます。文筆家の甲斐みのりさんとシンガーの中島愛さんの対談本『音楽が教えてくれたこと』という本。2013年の12月、鎌倉のカフェ・ヴィヴモン・ディモンシュのクリスマスライブにまめぐちゃんがふらりと現れたことを鮮明に思い出します(そのときの日記そのときの様子)。せっかくだから、と打ち上げに引き止めて、そこにいたみんなとのとても楽しいおしゃべりのなかで彼女が甲斐みのりさんの著作が大好きだということ(「憧れ」という言葉も語られたと記憶している)を知ったのでした。きっと必ず、いつか、まめぐちゃんは甲斐さんと対面するのだろうな、と思った。

その後歌手活動の無期限活動中止期間を経て、昨年の復帰シングルに僕は歌詞を書く機会をいただき、「最高の瞬間」という曲ができあがったのだけど、2013年冬の鎌倉ディモンシュでの堀内マスターやアアルトコーヒー庄野さんたちとのプロレス話の盛り上がりは「迷わず行けよ」とか「時は来た!ってそれだけさ」というフレーズに繋がって、ボーカル録音のときに「こそっとプロレスネタ入れてるのわかった?」という僕の問いに、「猪木と橋本、当然ですよ!」とまめぐちゃんがニコッと笑った、そのいたずらな感じがとても良かった。そのときに初めて、ミルブックスが長年あたためてきた音楽本の企画書を橋渡ししたのが、トントン拍子に話が進んでいく。甲斐さんとまめぐちゃんはついに出会い、あっという間にふたりが意気投合するところを僕は目撃しました。

1980年代の歌謡曲(この本では“乙女歌謡”という名称で呼ばれる)に造詣の深いふたりの対談内容は圧巻だ。本当に大好きなことをものすごい熱量で語り合っていて、つい読みふけってしまうし、そこで語られる音楽を聴きたくなる。片桐はいりさんは僕ら猫好きが猫について語るのを聞いて「好きなものについて一生懸命話している人の話って本当に面白いわね」と褒めてくれたが、この本もまさにそういう「好き」で溢れていて惹き込まれてしまう。まめぐちゃんの歌が人の心を魅了してやまないのは彼女自身が音楽を愛しているからなのだな、と改めて思いました。

甲斐さんの情熱もすごい。言葉に対する嗅覚もさすがだなあと思った。ふたりのコラボレーションは今年2月に発売になるアルバム『Curiosity』に甲斐さんが作詞で参加するまでに昇華している。豪華作家陣が集う活動再開後初の作品を手にするのが今から楽しみです。「最高の瞬間」も収録されることになっていっそう嬉しい。ぜひこの本と『Curiosity』の両方楽しんでもらいたいなと思います。印象的な表紙は吉祥寺のココナッツディスクに協力していただいて、大沼ショージさんが撮影したもの。あふれる感情たちを美しい本に仕上げたミルブックスの手腕に大きな拍手を。

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Posted by monolog at 11:32│Comments(0)