2018年02月02日

太陽と満月



先日の皆既月食は見事だった。曇りの予想だったのが晴れて、21時から真夜中までという時間も好条件だったので、僕も最初から最後までコートを着込んでずっと欠けて幻想的に色付いていく月を眺めていたし、SNSにも月を愛でる言葉がたくさんあった。「blue moon skyline」「三日月のフープ」「星降る街」(『pilgrim』の曲が多いのか)など自分が書いた歌に月が出てくることが多いことはわかっているんだけど、僕は天体とか宇宙にとんと疎いし、なぜ月食が起こるか何回説明されてもそのたびに忘れてしまう。子供の頃に月食とか日食を見た記憶が薄いのはなぜだろうか。それとは対照的にここ最近はことあるごとに空を見上げている気がするのも不思議。昔は下ばかり向いて探しものをしていたのか?

チミよ、これが皆既月食だ、とエンケンさんの「寝図美よこれが太平洋だ」の真似をしてオペラグラスを覗かせているときに強烈に思い出したのは、この家に越してきてから初めての春に先代猫のポチと見上げた金環日食のことだった。2012年5月21日7時に撮った写真がある。朝早く起きて庭に出て、にわか天体ファンとなって購入した解説本についていた太陽レンズで見た太陽は初めて見る姿で、ふと気づくと木漏れ日がすべて三日月状の形になっていて、それがなぜかはわからないけどひどく感動したことを憶えている。「この星に住んでいる」と思った。今回の月食でも時間とか距離を越えて感覚的な感動があったし、高橋久美子ちゃんが「地球に住んでいるだね!」とつぶやいているのを見て、同じように思ったのでした。



ポチと太陽に目を細めた数年後に、ポチ実と月を見上げる。太陽と満月。変わらないと思っていたものが変わってしまったり、揺るがないと思っているものが揺らぐこともある。それでも変わらずにそのままなものもたくさんあって、時間の先端の、今このときがあって、われわれは現在位置をいちいち確認しながら、進んでいく季節に取り残されないように足元を見つめながら日々を歩いて、たまに一昨日みたいに空を見上げるのです、多分。雪がまた積もりました。どんな2月になるでしょうか。



Posted by monolog at 10:11│Comments(0)