2018年03月06日

アカデミー・マンデイ|引き潮の町



グラミー賞とアカデミー賞の日は朝から楽しい。こないだのグラミー賞はハイライトらしい見せ場がなくてがっかりしたけど、昨日のアカデミー賞は賑やかで面白かった。受賞者がたくさんの人たちに感謝を述べるシーンを見ると僕はいつも感動して泣いてしまうのだ。どの目線からの涙なのか自分でもわからない。特筆すべきは主演女優賞のフランシス・マクドーマンドの受賞スピーチだった。マイノリティ、ジェンダー、トランプ政権、アメリカが抱える苦悩に向けて毅然と発せられた言葉と笑顔だった。これから日本で公開される映画がたくさんあって楽しみになる。『君の名前で僕を呼んで』が気になる。スフィアン・スティーヴンスやセント・ビンセント、クリス・シーリーの演奏も素晴らしかった。

『シェイプ・オブ・ウォーター』に作品賞の座を譲ったが、とても評価の高かった『スリー・ビルボード』を観にいった。ずっと観たかった映画だったけど予想以上でした。暴力と痛み、悲しみと怒り、後悔、復讐、色濃い影と少しだけ差す光をかき回すような、極めてアメリカ的な物語。エンドロールが終わって深い溜息を吐き出しきってしまうまでしばらく立ち上がれないようなやつだった。架空の町には「エビング(Ebbing)」という名前が付けられていて、それは満潮(high tide)の対義語、「引き潮」という意味だ。この町に、このあと波のように押し寄せてくるのはどんな事件や出来事や感情なのだろうか、と物語の少し先の未来のことを妄想しながら帰路につきました。

Posted by monolog at 09:57│Comments(1)
この記事へのコメント
山田さん、こんにちは。
私は先週末、渋谷に「グレーテスト・ショウ・マン」を観に行きました。
夜の回しか座席が取れず、時間があったので文化村で「しあわせの絵の具」を
観ました。
静かで風景が美しく、心が暖かくなるとても素晴らしい映画でした。
モード・ルイスという実在した女性のお話しです。
機会がありましたら是非観てください!

http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/18_maudie.html

「スリー・ビルボード」も観てみたいと思います(^^)/。

Posted by 石橋 知子 at 2018年03月06日 11:29